国内FX、取引1.3京円・1,328万口座・証拠金2.5兆円

2026-06-16

 外国為替証拠金取引(FX)店頭業者大手の外為どっとコムの調査機関である外為どっとコム総合研究所は、FX業界における業者数・口座数・証拠金残高などの各種データの推移及び顧客に対して毎月実施したFX投資家アンケートを基にした取引実態調査の結果を公表した。これは同社が毎年発行している「外為白書」(定価2,200円税込)に掲載されているもので、「外国為替市場の包括的な分析書」という位置づけだ。このたび同白書の第16号(外為白書2025)が刊行されたが、これをもとに国内FX市場の現状を辿ってみたい。


店頭・取引所合計で1,328万口座、5年間で30%増

 2025年12月末時点における店頭FXの設定口座(総口座)数は1,208万539口座(前年同期比1.4%増)と、依然右肩上がりの状態にある。一方で、このうち第3四半期(10―12月、以下第3Q)に取引があった実績口座(稼働口座)数は72万79口座(同5.7%減)と約4.3万口座減少した。総口座数に対する稼働口座数の割合は6.0%だった。
 一方、東京金融取引所が上場する取引所FX「くりっく365」の総口座数も120万2,493口座(同2.3%増)と店頭同様に増加したが、第3Qにおける稼働口座数は1万2,783口座(同22.7%減)で、くりっくの口座稼働率は1.1%だった。
 この結果、店頭FXと公的な取引所FXを合わせたFX業界規模は、12月末時点で総口座数が1,328万3,032口座(同1.5%増)と2020年以降の5年間で30%以上増えた一方で、稼働口座数は77万7,201口座(同5.7%減)となった。
 両市場合算の第3Qにおける口座稼働率は5.5%と前年同期の5.9%から0.4㌽減少した。
 合計設定口座数は2020年12月に初めて1,000万件の大台を突破し、その後も増加傾向を維持している。
 なお、店頭FXと取引所FXの合計稼働数が過去最高となったのは、コロナ禍で円相場が乱高下した2020年1―3月期の89万7,813口座である。
 取引業者数の増減をみると、第3Qに出来高実績のあった店頭業者(報告ベース)は45社で前年比で2社減少した。
 2015年以降は50社前後で推移しており新規参入も撤退もほぼないものの、2008年度の最多118社と比較すると60%以下にまで落ち込んでいる。


FX証拠金残高2兆5,259億円、ドル円取引金額1.2京円に

 2025年末時点での受入証拠金残高をみると、店頭FXが1兆9,601億円(前年同期比5.1%増)と金額ベースで955億円増加し、取引所FX「くりっく365」も5,658億円(同5.3%増)と283億円増加した。この結果年末時点の合計で2兆5,259億円(同5.2%増)となった。FX証拠金額は年度末(3月末)ベースで2011年度に初めて1兆円の大台に乗り、2019年度に2兆円に達した。
 2025年通年(2025年1月~12月)における店頭FXの総取引金額(円ベース)は1京3,762兆8,358億円(前年比0.9%減)と、金額ベースで128兆6,900億円減少した。取引金額が初めて1京円を突破したのは2022年で、以後高水準を維持している。一方で取引所FXの総取引金額は21兆6,067億円(同27.2%減)と約8兆円減少した。この結果、店頭FX・取引所FXの合計取引金額は1京3,784兆4,428億円(同1.0%減)となった。
 店頭FXにおける各通貨ペアごとの取引金額では、米ドル/円が1京2,067兆7,310億円と最大で、取引シェアでは全体の約87.7%を占めた。ドル/円の取引最高額は2023年に初めて1京円台に乗せたが、年々取引シェアが高まっている。取引の牽引役となったドル/円相場は、1月に158.90円付近まで上昇し、4月には139.80円台へ反落、11月に157円台に持ち直すといういわゆる「往って来い」の展開で、取引が膨らみやすい環境下にあった。
 2番目は10年連続でポンド/円が入った。取引金額は422兆1,290億円で12.6%減少(金額ベースでは約60兆円)し、取引シェア3.1%と0.4㌽低下した。
 以下、ユーロ/円396兆1,247億円(前年比5.9%減、取引シェア2.9%)、豪ドル/円368兆9,643億円(同8.9%減、同2.7%)、ユーロ/米ドル244兆4,674億円(同49.8%増、同1.8%)と続いている。


メインプレーヤー初の50代、中高年層へのシフト顕在化

 外為どっとコム総研が外為どっとコムの協力のもと実施した2025年の投資家動向調査(2025年1月2日~2026年1月1日、対象約86万口座、取引データより抽出)によると、期間中にFX取引を行った年代は50代が31.7%と最多だった。次いで40代29.7%、60代14.9%、30代12.2%、20代2.9%と続いた。50代が40代を上回り主要取引層となったのは統計開始以来初めてであり、投資行動の中心が中高年層へとシフトしていることを示す重要な変化である。
 新規口座開設者の年代別割合では、40代が最多で26.3%、次いで30代の25.5%、50代が19.7%、20代が17.2%、60代が7.2%と続いた。2020年以降の動向では20代・30代の構成比が緩やかに低下した一方で40代・50代・60代の比率が上昇しており、「日本社会の人口動態・制度設計・投資商品特性が複合的に作用した結果」とみている。口座開設期間についても2019年以降一貫して長期化が進んでおり、投資行動が短期的投機から中長期的な資産運用へと徐々にシフトしている模様だ。
 また少額投資非課税制度(NISA)と比較すると、NISAは非課税メリットや長期投資との親和性が高く資産形成志向の高齢層にも広く受容されているのに対し、FX口座は30代・40代の割合が他の年代と比較して高く、取引形態や税制面の違いが背景にあるとみられる。
 平均保証金率では2025年が26.0%となり、前回調査(27.0%)から1.0㌽低下したものの、依然として高いボラティリティが継続する中での慎重な水準を保っている。法律で定められた最低保証金率4%(レバレッジ上限25倍)が理論上の最小値であることを踏まえると、実効レバレッジは約3.7倍と試算され、個人投資家が規制上限よりも大幅に低いレバレッジ水準で取引していることが確認できる。3~4倍程度の比較的保守的なレバレッジ水準に抑えつつ取引することで、急激な相場変動に伴うロスカットや未収金発生リスクを回避するための合理的な行動といえる。


FX投資家平均像、取引数量45Lot、レバレッジ3.7倍

 1注文当たりの平均取引数量は45Lotで前年から小幅増となり、月次では7月まで減少した後、8月以降は市場のボラティリティ低下を背景に12月まで51Lotまで回復した。直近5年間の推移を確認すると平均取引数量は緩やかな増加基調にあり、投資家の経験蓄積による取引スキルの向上、スプレッド縮小や市場インフラの改善、情報処理環境の高度化、高金利通貨の人気上昇による収益機会の拡大などが要因とみられる。
 取引参加者の収支状況については、年間を通じて収支がプラスとなった割合は43.2%となり、前年比8.0㌽上昇した。この改善は近年の中でも比較的大きく、市場環境の変化と投資家行動の成熟化が収益改善に寄与した可能性を示している。一方、2025年は政治イベントに翻弄された年でもあり、未収金件数は1,284件(前年比183.7%増)、未収金額は約5,462万円(前年比224.1%増)と大幅に増加した。特に米国のトランプ関税政策やトルコの政情不安、7月の参院選などが相場変動を引き起こし、適切なレバレッジ管理やリスクヘッジの重要性が改めて浮き彫りとなった年であった。
 なお集計結果によるFX個人投資家の平均的人物像について、①口座開設は40代がメインだが実取引は50代が最多、②1注文当たりの平均取引数量は45Lot(1Lot=1,000通貨)、③実効レバレッジは約3.7倍、④経験蓄積に伴いリスク許容度は緩やかに拡大―などと結論付けた。

参考:国内FX市場についての図表(取引金額・口座数・証拠金額の推移)
(Futures Tribune 2026年5月22日発行・第3433号掲載)
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