世界90%超の中央銀行がCBDCの研究に着手
2022-11-22 デジタル技術の進歩によりビットコインなどの暗号資産が普及し、その中で中央銀行自身が発行するデジタル通貨「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」(Central Bank Digital Currency)に注目が寄せられている。
例えばデジタル人民元は中国のCBDCだが、CBDCの定義は人民元に限らず
①デジタル化されていること
②法定通貨建てであること
③中央銀行の債務として発行されること
を満たすものとしている。つまり法定通貨のデジタル版として、紙幣やコインをなくし、国全体が携帯アプリで残高を管理しながら資金移動の効率化を目指すというコンセプトである。
仮に日本国内全体でCBDCが有効に機能していれば、新型コロナウイルスの蔓延による給付金の支給において迅速に処理できたとの指摘もある。
CBDCはすでに2つの国で正式に導入されている。世界初は2020年10月20日、中南米のバハマ国で発行された「サンド・ダラー」である。同国は人口約40万人、700余りの小島から成る福島県とほぼ同面積の国であるが、CBDCにより国民の金融アクセスが大幅に改善した模様だ。
次いで、ほぼ同時期の10月28日、カンボジアが導入したスマホの小口決済システム「バコン」である。同通貨はカンボジア国立銀行と日本のブロックチェーン企業であるソラミツが共同開発したもので、自国通貨「リエル」以上に米ドルの利用が多かったカンボジアの決済状況を改善する狙いがあった。実際、人口1,600万人の同国でバコンを導入後、2カ月で5万人ほどが利用したとされている。
上記2国だけではなく、現在世界の中央銀行で9割がCBDCの研究に着手しているとされる。アメリカでもバイデン大統領が研究を指示し、日本においても日銀が3段階の実証実験を進めており、2023年春からパイロット実験を始める見通しで、日銀とメガバンクの他に地方銀行も参加するとみられる。
(Futures Tribune 2022年11月22日発行・第3181号掲載)
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