取引情報の詳細な公表が市場の信頼性向上に繋がる

2022-10-07

 大阪取引所が主要デリバティブの取引情報について、公表の方法を見直すようだ。現状、売りと買いについて別々に公表している数字を、今年度中に売買の合算数値として合計値のみ公表するという。
 こうした措置は証券会社からの要望によるもので、売りと買いの数値を別々に出されると翌日以降の取引が投資家に予想されやすくなるという懸念に根差している。要は取引に便乗してこられると自分達の儲けが減るという、証券会社の自己都合ともとれる。
 商品先物業界も、かつては取引所日報で各業者および商品ごとに売りと買いの枚数をすべて公表していたが、東京工業品取引所(現・東商取)が新システムを導入した2009年(平成21)5月以降、取組高について業者別の公開を取りやめ、自己、委託、会員委託というカテゴリー別に切り替わった。
 また売買高については、商品ごとに上位10社のみの公表とし、このスタイルは日本取引所グループ(JPX)傘下に入ってからも継続している。とはいえ、現在の取引ボリュームでは、標準金など一部商品以外は上位10社でほぼ全量を把握できるというのが国内商品先物市場の実態である。東工取の時は、海外プロップからの要望が強かったという。要は今回の証券会社と同じ理屈だが、市場の信頼性向上のためには情報は公開し、その利用法は各自に委ねる方が健全ではないか。

(Futures Tribune 2022年10月4日発行・第3171号掲載)
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