現状のコメ価格は安いのか

2025-05-24

 12日に発表された全国のスーパーにおけるコメ平均価格は、5kgあたり4,214円と前週比で19円の下落となった。値下がりは18週ぶりだが、わずか19円では横ばいに過ぎない。さらに翌13日には全国農業協同組合中央会(JA全中)の山野徹会長が、現状のコメ価格について「決して高いとは思っていない」とする認識を示した。生産コストの増加に悩むコメ農家に配慮したつもりだろうが、なかなか強気の発言である。
 JA全中は全国506の地域農協を土台にした農業ピラミッドの頂点に君臨する組織でJAグループのブレーンとして周知されている。2015年の農協法改正で農協に対する監査権限を剥奪されたとはいえ、未だに影響力は大きい。こうした点も含め、いわゆるホワイトカラー層の集団であるJA全中は、コメ生産の現場にいる人たちにとって疎ましい存在でもあるようだ。組織特有の狭量的な規律や行動を霞ヶ関に対比させ「大手町官僚」と揶揄する陰口も横行している。
 そんなガチガチのブレーンJA全中がITシステムの開発に失敗し200億円の損失を出したばかりか、補填目的で末端の農協に請求するシステム利用料を27年以降3.2倍に値上げするというのだから、現場から怨嗟の声が上がって当然だろう。そもそもコメの値段について個人が見解を示しても意味がない。答えは先物価格に提示されている。

(Futures Tribune 2025年5月13日発行・第3359号掲載)
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