最強最大の武器

2024-11-02

 「Japan Power Summit 2024」は会場全体がすごい熱気だった。だが参加者の大半が電力業界関係者で、商品先物関係者からの参加者は極めて少数だったようだ。それでもパーティー会場の外では岡地や日産証券など数社がブースを出展していた。
   日本取引所グループ(JPX)の傘下となって以降、エネルギー商品専門の取引所となった東京商品取引所だが、ガソリンや灯油の先物は国の補助金政策の関係で出来高ゼロが続いており、実質機能しているのは電力と原油の先物市場に限られる。だがどちらも経済活動の根幹を成す重要物資である。
   例えばロシアは原油価格の上昇時には国力が充実し内政も安定化するが、これが下がると国力は衰え内政も混乱する傾向にある。ロシアは世界第2位の産油国で、天然ガスの産出は世界トップである。経済構造がエネルギー資源に依存する形で、つまり石油による収入で成り立っているともいえる。ソ連最後の書記長だったゴルバチョフが2010年、作家の佐藤優氏の取材を受けた際、「ソ連解体の最大の要因は何か?」との問いかけに「サウジアラビアによる原油増産だ。原油価格の下落がソ連経済を直撃した。(中略)原油価格が国家体制に与える影響の分析ができていなかった」と回答した。エネルギー商品価格は時に大国をも壊滅させる、最強最大の武器に変貌する。

(Futures Tribune 2024年10月29日発行・第3321号掲載)
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