日本の個人投資家に定着しないオプション取引

2024-04-10

 堂島取引所の貴金属上場から1年が経過した。これで国内における金先物関連の商品は大阪取引所の金標準、金ミニ、金限日、堂島金となり、3月の出来高順位は各々1位、6位、3位、4位とすべて主力商品の位置づけで、4商品の合計出来高は約160万枚と金は出来高全体の70%超に達している。
 だが金で忘れられているものが1つある。それが金先物オプションで、2020年4月以降出来高ゼロの様態が続いている。金先物オプションは2004年5月、東京工業品取引所(現・東京商品取引所)が上場した。上場に先駆けて東工取の振興協会がポスターの標語を募集したが、最優秀作品は「夢・無限大。金、オプション取引」で、これは豊商事(現・豊トラスティ証券)から寄せられたものである。
 当時の中澤忠義理事長は17日の上場当日、取引開始のスタートボタンを押した後、記者会見をキャンセルしてロンドンへ飛び、英国に向け金先物オプションのPRを展開した。また金オプションが好調に推移した場合は、石油市場へのオプション導入も視野に入れていた。
 2003年(年間および事業年度)は国内商品先物市場における出来高がピークに達した時期で、業界も活気がありオプションへの期待も高かった。もし金先物オプションがうまく機能していたら、商品先物を巡る現状は激変していただろう。

(Futures Tribune 2024年4月2日発行・第3279号掲載)
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