関西商品先物の砦「シルクセンタービル」

2023-04-20

 今から45年前の1978年(昭和53)3月22日、神戸生絲取引所の神戸シルクセンタービルが完成し、業務を開始した。地下1階、地上8階建てで、最上階の8階に立会場、理事長室、事務室、会議室といった取引所機能を集約させ、他のフロアはすべて貸室にした。竣工当初から1~3階に日本電気、5~7階には住友生命など大手企業の入居があり、神戸生絲取はその後1997年(平成9)4月に関西農産商品取引所と合併して関西商品取引所(現・堂島取)となったが、はじめからテナント収入を重視して設計したことは慧眼だった。このビルのテナント収入がなければ、堂島取は確実に存続できてはいなかった。
 一方、解散した東京穀物商品取引所の新社屋も前年の1987年(昭和62)12月に落成しており、地下1階、地上7階建てに全協連、補償基金、厚生年金、健保組合、全穀連、東穀協会、市況調査会といった業界団体が揃って入居していた。大理石パネルとギリシャ・イオニア式列柱の威厳に満ちた建物だったが、今は影も形もない。個人的には東穀取の売却前、東工取に入居してもらい社屋を引き継いでもらいたかったが、今更いっても仕方がない。
 シルクセンタービルの竣工時、本紙(Futures Tribune)の見出しは「地方取の自衛」だった。すでに出来高の東京集中化は始まっていたが、堂島取には同ビルを守り、先物の活性化を望みたい。

(Futures Tribune 2023年4月19日発行・第3210号掲載)
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