忘れ去られた金先物オプション、復活の道はあるか?

2023-03-31

 堂島取引所の貴金属市場が開設したことで、大阪取引所と合わせると金(大阪・堂島)、金ミニ、金限日、銀(大阪・堂島)、白金(大阪・堂島)、白金ミニ、白金限日、パラジウムと、投資家の選択肢は増えた。だが忘れ去られた貴金属商品に金先物オプションがある。
 取引開始は東京工業品取引所時代の2004年5月17日で、今は大阪取の取扱いに変わってはいるが、大阪取移管前から長らく取引がない状態が続いている。金以前にも、東京穀物商品取引所が大豆やトウモロコシのオプション取引市場を開設したが、いずれも根付かなかった。
 理由のひとつにオプション取引に対する外務員の習熟度合いが低かったことがあるだろうが、その根本的な原因は、オプションの注文が営業成績に反映されないという現場の実態によるものだ。
 ちょうど30年前1993年3月、本紙に匿名でインタビューに応じた外務員の声が掲載された。当時待ち望んで上場されたはずの先物オプションだったが、いくら注文を取っても成績にならないという。理由は「先物だと証拠金は預りとして自社に残るが、オプションは会社を通過して顧客に渡ってしまう」という、会社都合に他ならないものだった。
 オプション取引は、本質を理解すれば難解ではなく有益な選択肢である。今からでもどうにかならないものか。

(Futures Tribune 2023年3月28日発行・第3206号掲載)
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