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内外投資家の情報格差解消に
JPX総研、「SCRIPTS Asia」を子会社化

2022-12-14
JPXグループ

 JPXグループのシンクタンクであるJPX総研が「SCRIPTS Asia」(本社・東京都港区、本郷準一社長)の全株式を取得し子会社化した。11月29日に契約を締結した。同社は上場会社の投資家向けイベントにおける議事録作成、英語への翻訳を短時間で行い、内外の機関投資家や証券会社などに配信するサービスを行っている。
 今回の買収は、要は海外投資家に向けた情報開示の強化策である。取得株式数は500株で、金額は2,000万米ドル(約29億円)となる(為替レート144.54円で計算)。

 東証はもともと内外の投資家に対する情報格差を解消すべく、SCRIPTS社とは2020年から業務提携してきた。事業移管は2023年2月28日を予定しているが、こうした背景には海外投資家がメインプレイヤーとなっている国内市場の実態がある。
 2021年の国内株式市場における投資部門別売買代金比率をみると、トップが海外投資家(現物58.2%、先物73.0%)、次いで個人投資家(同21.6%、同11.8%)、自己(同13.0%、同9.6%)、法人(同6.4%、同5.1%)、証券会社(同0.8%、同0.5%)となっている(先物は日経225先物、日経225mini、TOPIX先物、ミニTOPIX先物の合計)。
 これでは海外投資家の動向が市場の関心で常に中心になるのは仕方がない。だが海外投資家が主体となるに連れ、日本市場としての存在意義が徐々に薄まっていくのも確かであるといえるだろう。

(Futures Tribune 2022年12月6日発行・第3184号掲載)
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