JPX・26年3月期、増収増益で最高益更新

2026-05-20
日本取引所グループ(JPX)2026年3月期(2025年4月~26年3月)連結決算

 日本取引所グループ(JPX)が4月28日に発表した2026年3月期(2025年4月~26年3月)連結決算は、営業収益1,987億3,500万円(前期比22.5%増)、営業利益1,162億8,900万円(同29.0%増)、税引前利益1,169億1,800万円(同29.5%増)、親会社所有者帰属の当期利益791億3,900万円(同29.5%増)と、主要項目がそろって過去最高を更新した。EBITDAも1,352億円(同24.3%増)に達し、ROEは23.1%と前期の18.3%から大きく改善した。日本株市場の歴史的な活況に加え、円金利スワップ取引の担保管理から得る収益が急伸したことが全体を牽引した格好だ。


 収益の内訳をみると、3期連続で全区分が増加した。中でも清算関連収益は542億4,200万円(前期比57.5%増)と突出した伸びを示し、金利スワップ取引の担保管理収益等が約164億円押し上げた。取引関連収益も773億9,900万円(同20.0%増)と大きく伸びたが、原動力はあくまで現物株である。プライム市場内国株の1日平均売買代金は前期比30.0%増の5.74兆円、立会内外を含む株券等全体では31.9%増の7.52兆円と記録的な水準に膨らんだ。
 これに対し、デリバティブの取引料はむしろ伸び悩んだ。金融デリバティブの取引料は92億7,900万円(同1.0%減)とほぼ横ばいで、内訳でも日経225先物が10.9%減、長期国債先物が6.2%減と振るわず、TOPIX先物(2.8%増)、日経225オプション(22.5%増)がかろうじて下支えする展開となった。25年4月のボラティリティ急騰後の反動減により第3四半期まで取引高が低迷したことが響いた。
 商品(コモディティ)デリバティブの取引料は12億8,000万円で前期比8.2%減と、5期連続の減少となった。同取引料は24年3月期の14億7,600万円から、25年3月期13億9,400万円、26年3月期12億8,000万円と緩やかながら一貫した下降線をたどっている。
 取引高(取引単位換算後の1日平均)も1,280万単位と前年度比7.2%減。商品別の年度合計でみると、金先物(標準・ミニ・限日合計)が前年度比5.4%減、白金先物が4.6%減、原油先物が18.7%減、ゴム先物(RSS3)は42.0%減と、主力商品の取引離れが鮮明となっている。本紙集計でも25年3月の3取引所合計出来高は136万8,823枚にとどまり、トップ3を金が独占する商品構成も固定化している。日本株とデリバティブのコントラストは、JPXの収益が市況連動の現物株に強く依存し、商品先物の存在感が相対的に低下し続けている現実を映し出す。
 ただ、暗い数字ばかりではない。25年度は超長期国債先物および電力先物の取引高がともに過去最高を記録した。円金利スワップ取引の清算金額も過去最高を更新し、米CFTCから米国人顧客の金利スワップ清算サービスの利用認可を取得。OTC清算サービスの裾野が国際的に広がりつつある。商品分野でも、通貨先物に加えてポケットゴールド100先物・ポケットプラチナ100先物を新規上場し、電力先物では年度物取引や中部エリアの上場、電力現物・先物連携サービス「JJ-Link」のフェーズ2移行に着手するなど、品揃えと利便性の拡充が着実に進んだ。アセットクラス別の営業収益では、エクイティ関連が1,197億円を占める一方、コモディティ関連収益は16億円規模にとどまるが、金利関連は293億円まで成長しており、エネルギー関連の振興が次の収益柱として明確に位置付けられている。
 他の注目点は、「中期経営計画2027」が、わずか1年で異例の早期上方修正となった点だ。当初計画は最終年度(27年度)の想定数値として営業収益1,790億円程度、当期利益630億円程度、ROE18.0%以上、3カ年の株主還元1,700億円程度(自己株式取得600億円含む)、営業キャッシュフロー2,900億円程度としていた。今回のアップデートでは、これを営業収益2,120億円程度、当期利益760億円程度に引き上げ、財務目標も「最終年度18.0%以上」から「3期連続ROE20.0%以上」へと格上げした。株主還元も2,300億円程度へと600億円積み増し、営業CF見通しも3,400億円程度へ拡大。計画初年度から目標水準を上回る進捗を受けた、強気の修正といえる。総還元性向は26年度に106%程度となる見通しだ。
 JPXは重点テーマ「総合プラットフォーム化へ邁進する」のもと、金利関連収益で年率平均12%程度、データサービス収益で同8%程度の成長を見込む。商品先物については「エネルギー関連商品の振興」を掲げ、新商品の追加や多様な市場参加者のアクセス向上による電力先物市場の活性化、電力現物市場との連携強化、発電燃料(LNG)の取引拡大やエネルギー関連デリバティブ拡充に向けた調査研究を進める方針だ。

株式会社日本取引所グループ 3営業年度連結業績比較(PDF)
(Futures Tribune 2026年5月19日発行・第3432号掲載)
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