
取引所でコメ現物受渡し要望へ
2026-01-29堂島取引所のコメ指数先物「堂島コメ平均」において、事実上機能していない現物受渡しに対し、有力農業団体や主要生産地の大規模JAが「堂島取引所で現物の受け渡しができるようにして欲しい」と農水省に要望した模様だ。大規模JAの代表が生産者らと事務次官に面談し、現物受渡しまたは納会20日前の合意早受渡しなどについて早期の実現を要請した。「令和の米騒動」による高騰でコメ価格は国民的な関心事となっており、堂島コメ平均の注目も高まっているが、生産者や当業者からは現物受渡しが機能するよう望む声が上がっている。
コメ価格の指標づくりを掲げて始まった流通経済研究所の「みらい米市場」は、本来堂島コメ平均と連携し、現物受渡しの受け皿となるはずだった。だが制度整備が進められながらも、現物受渡し市場として定着していない。その背景には、政策や制度にまたがる構造問題がある。
まず政策面では、減反や概算金、補助金を軸とする農政が、価格変動を市場ではなく行政で吸収する仕組みを維持してきた点が大きい。価格リスクをヘッジする市場の必要性が、政策的に乏しかった。
次に制度面では、現物市場と指数市場を組み合わせる設計自体は理論的に正しかったが、農家、JA、実需のいずれも積極的に使う動機を持たなかった。制度は整っているが孤立している状態が続いている。
みらい米市場が機能していない要因は、市場設計の失敗というより、日本のコメ流通が、まだ市場型価格形成を受け入れる素地が出来上がっていないことを浮き彫りにしたともいえるだろう。
一方で、コメ価格に対する動向は国民の重要な関心事項となっている。こうした中、高市内閣発足による農政の転換は、関係者に混乱を生じさせている。従来のコメ生産拡大路線から生産調整に反転したことで、中小規模の生産者にとってはリスクが増加している。
(Futures Tribune 2026年1月20日発行・第3408号掲載)
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