
貴金属限日取引、来年12月終了~金・白金の代替商品4月上場へ
2025-07-23
日本取引所グループ(JPX)は30日、傘下の大阪取引所に上場する金の限日取引「東京ゴールドスポット100」、及び白金の限日取引について2026年12月22日を最後に取引を休止すると発表した。両商品とも市場価格と理論現物価格との差が開き取引が不成立になるなど、適正な価格形成が困難となり投資家の市場離れが顕在化してきたため。限日先物に代わり、決済期限を設けた金及び白金の新商品を26年4月13日に上場する予定で、現在パブリックコメントを募集している。限日取引は外国為替証拠金取引(FX)に近い商品設計で、個人投資家を中心に取引されてきた。
JPXは2024年12月3日と2025年2月18日、金及び白金の限日取引について、市場価格と理論現物価格の間に大きな乖離が継続して発生していると市場参加者に向け注意喚起を行った。
- ※12月3日日中立会時点の価格
- ・金限日先物 終値13,286円
- 理論現物価格 12,776円
- ※2月18日日中立会時点の価格
- ・金限日先物 終値14,760円
- 理論現物価格 14,177円
だが状況は改善が見られないまま、理論現物価格を基準として算出した呼値の制限値幅の上限に価格が達し、取引が不成立となるなど適切な価格形成に弊害が生じ始めた。このため投資家の市場離れが起こり流動性の減少やそれに伴う価格変動の増幅が見られるなど、投資家保護の観点からも望ましくない状況が続いている。
このためJPXは標準物との裁定取引が有効に機能するよう限日取引の商品性を抜本的に変更することを決め、新商品にリニューアルを進める。
新商品は2026年4月13日、金標準先物の価格又は白金標準先物の価格を取引対象とし、「1年程度で取引最終日が到来する商品設計の金の限月現金決済先物取引及び白金の限月現金決済先物取引」を上場する。一方で、現行の限日取引は2026年12月22日を取引最終日として市場を休止する。
なお最終日に未決済の建玉は新商品へ移行せず、翌23日に算出する最終清算数値で最終決済を行う。
金限日は東京商品取引所が2015年5月7日に上場し取引をスタートさせた。FXに近い商品設計にすることで、個人投資家の商品先物誘致を目指した商品でもあった。
その後白金についても2017年3月21日、東商取で限日取引を開始したが、両商品とも来年で幕引きとなる。
(Futures Tribune 2025年7月1日発行・第3369号掲載)
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