
1,308万口座・証拠金2.4兆円~国内FX、取引金額1.3京円
2025-06-21
外国為替証拠金取引(FX)店頭業者大手の外為どっとコムの調査機関である外為どっとコム総合研究所は、FX業界における業者数・口座数・証拠金残高などの各種データの推移及び顧客に対して毎月実施したFX投資家アンケートを基にした取引実態調査の結果を公表した。これは同社が毎年発行している「外為白書」(定価2,200円税込)に掲載されているもので、「外国為替市場の包括的な分析書」(竹中平蔵特別研究主幹)という位置づけだ。このたび同白書の第15号(外為白書2024)が刊行されたが、これをもとに国内FX市場の現状を辿ってみたい。
店頭・取引所合計で1,308万口座、6年連続で最高数更新
2024年12月末時点における店頭FXの設定口座(総口座)数は1,191万1,222口座(前年同期比5.9%増)と、依然右肩上がりの状態にある。一方で、このうち第3四半期(10―12月、以下第3Q)に取引があった実績口座(稼働口座)数は76万3,655口座(同9.2%減)と約4.2万口座減少した。総口座数に対する稼働口座数の割合は6.4%だった。
一方、東京金融取引所が上場する取引所FX「くりっく365」の総口座数も117万5,755口座(同3.1%増)と店頭同様に増加したが、第3Qにおける稼働口座数は1万6,544口座(同18.1%減)で、くりっくの口座稼働率は1.2%だった。
この結果、店頭FXと公的な取引所FXを合わせたFX業界規模は、12月末時点で総口座数が1,308万6,977口座(同5.6%増)と6年連続で過去最高を更新した一方で、稼働口座数は77万7,201口座(同5.5%減)となった。
両市場合算の第3Qにおける口座稼働率は5.9%と前年同期の6.6%から0.7ポイント減少した。
合計設定口座数は2020年12月に初めて1,000万件の大台を突破し、その後も増加傾向を維持している。なお、店頭FXと取引所FXの合計稼働数が過去最高となったのは、コロナ禍で円相場が乱高下した2020年1―3月期の89万7,813口座である。
取引業者数の増減をみると、第3Qに出来高実績のあった店頭業者(報告ベース)は47社で前年比で横ばいだった。2015年以降は50社前後で推移しており新規参入も撤退もほぼないものの、2008年度の最多118社と比較すると半分以下にまで落ち込んでいる。
FX証拠金残高2兆4,021億円、ドル円取引金額1.2京円に
2024年末時点での受入証拠金残高をみると、店頭FXが1兆8,646億円(前年同期比3.3%減)と金額ベースで642億円減少した一方、取引所FX「くりっく365」は5,375億円(同11.3%増)と545億円増加した。この結果年末時点の合計で2兆4,021億円(同0.4%減)となった。FX証拠金額は年度末(3月末)ベースで2010年度以降7年連続で過去最高記録を更新した後、一旦減少に転じてから大幅に盛り返した。
2024年通年(2024年1月~12月)における店頭FXの総取引金額(円ベース)は1京3,891兆5,258億円(前年比15.3%増)と、金額ベースで倍増し初めて1京円を突破した2022年から規模を増大させている。一方で取引所FXの総取引金額は29兆6,868億円(同14.7%減)と約5兆円減少した。この結果、店頭FX・取引所FXの合計取引金額は1京3,921兆2,127億円(同15.2%増)となった。
店頭FXにおける各通貨ペアごとの取引金額では、米ドル/円が1京2,086兆5,446億円と最大で、取引シェアでは全体の約87.0%を占めた。ドル/円の取引最高額は2023年に初めて1京円台に乗せたが、2024年は19.1%増加した。同年の米ドル/円は1注文当たりの必要証拠金の目安が27万7,000円ほどで、今後もドル円の取引シェアは増加傾向にありそうだ。
2番目は9年連続でポンド/円が入った。取引金額は482兆8,775億円だったが9.2%減少(金額ベースでは約49兆円)し、取引シェア3.5%と0.9ポイント低下した。
以下、ユーロ/円421兆1,425億円(前年比11.3%増、取引シェア3.0%)、豪ドル/円405兆631億円(同3.8%増、同2.9%)、ユーロ/米ドル163兆1,856億円(同27.8%減、同1.2%)と続いている。
メインプレーヤーは40代、レバレッジ平均は3.7倍
外為総研が外為どっとコムを通じ毎月FX投資家向けに実施しているアンケート調査(2024年1月~12月、調査対象59万口座、回答数未発表)によると、期間中にFX取引を行った年代は40代が30.9%と最多だった。次いで50代29.9%、30代13.7%、60代13.5%と続いた。全体的に40代がメインプレーヤーで、今後も40~50代を中心に据えた金融サービスが主力となりそうだ。
新規口座開設者の年代別割合では、30代が最多で27.1%、次いで40代の25.7%、50代が18.1%、20代が17.8%、60代が7.3%と続いた。2019年以降の動向では20代・30代の割合が低下した一方で50代・60代の割合が増加しており、「FX投資への関心が全年代に広がっている」とみている。口座については開設期間の拡大が落ち着きつつあるものの、着実に長期化の流れにある模様だ。
また少額投資非課税制度(NISA)とFXを比較すると、NISAは10代を除き年代別の口座開設比率にばらつきが生じているのに対し、FX口座は30代・40代の割合が他の年代と比較して高く、取引形態や税制面の違いが背景にあるとみられる。
なおアンケート集計結果によるFX個人投資家の平均的人物像について、①40代がメイン、②1回の平均取引数量は44Lot(1Lot=1,000通貨)、③レバレッジは約3.7倍、④取引の習熟に伴いリスク許容度は緩やかに拡大―などと結論付けた。
(Futures Tribune 2025年6月3日発行・第3363号掲載)
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