暗号資産、金商法の規制対象に
~「決済手段」から「金融商品」へ

2025-04-25

 金融庁は10日、ビットコインなど暗号資産に関する法律の改正案を盛り込んだ「暗号資産に関連する制度のあり方等の検証」と題するレポートを公表した。暗号資産を現在の資金決済法から金融商品取引法における金融商品として位置付けられるよう法改正を目指す。暗号資産の国内口座数は1月末時点で1,200万口座を超え、預託金残高も5兆円以上に達している。一方で金融庁の金融サービス利用者相談室には月間で300件以上の苦情相談が寄せられており、暗号資産における利用者保護の枠組み整備を強化したい考えだ。同レポートについては、5月10日までパブコメを募集している。


 暗号資産に関する現在の法整備については、資金決済法で決済手段としての位置付けとなっている。金融庁は暗号資産を金融商品取引法での規制対象にすることで、暗号資産交換業者に対して企業の概要や取引情報の開示を義務付けるとともに、無登録業者への罰則強化にも繋げたい考えだ。
 さらに業者への勧誘規制を強化し、また暗号資産の新規取扱いについて事前届出制とすることでチェック機能を導入し、マネーロンダリングなど反社会勢力の不正利用を防止する。
 暗号資産に係る現行制度は2019年の法改正で固められたが、口座数(1,200万口座)、預託金残高(5兆円)ともに当時に比べ著しい成長を示している。また金融庁が2024年7月に公表した「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」によると、投資経験のある国内個人投資家の暗号資産保有率は7.3%に達し、外国為替証拠金(FX)取引や社債などよりも保有率が高い状況となっている。
 また日本では未承認だが、アメリカで2024年1月に米証券取引委員会(SEC)が承認したビットコインETF(上場投資信託)については、すでに1,200社を超える機関投資家が投資対象にしており、公的年金など長期保有を前提にする投資家も含めた市場の拡大が顕著になっている。アメリカ以外にも、カナダ、オーストラリアなどの取引所でビットコイン現物ETFが上場されるなど、国際的に暗号資産に関連した金融商品が増加傾向にある。
 日本での暗号資産取引による所得は総合課税が適用され、利益額による最大税率は45%で、住民税などを含めると最高55%の税率が課せられる。一方でETFの利益には分離課税が適用されるため、将来的に国内でビットコインETFが承認された場合、税率は現状の一律20.315%まで下がる可能性がある。さらに源泉徴収されることで確定申告の必要がなくなり、投資家のメリットも大きくなる。

(Futures Tribune 2025年4月22日発行・第3355号掲載)
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