堂島取、ビットコイン先物上場へ

2025-03-18

 堂島取引所がビットコイン先物の申請に向け準備を進めていることがわかった。ブルームバーグが4日に報じた。それによると申請先である金融庁からの認可を前提に早ければ2025年度中の取引開始を目指すとしている。アメリカでは2017年12月にシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)がビットコイン先物を上場したが、アジア地域で伝統的な取引所がビットコイン先物を取り扱うのは初のケースとなる。ビットコインを巡っては1月に就任したトランプ米大統領が暗号市産業界を支持する姿勢を打ち出しており、値段も乱高下の動きが目立っている。


 堂島取のビットコイン先物構想は、2020年10月に経営改革協議会が取りまとめた将来構想に繋がる最終提言にさかのぼる。同協議会の提言に沿って堂島取は株式会社化に移行し、貴金属市場およびコメ先物の上場に取り組んできた。それによると株式会社化後の将来構想として、以下の段階を想定していた。

[ステージ①]農水省専管取引所 現在堂島取で上場している農産物商品は堂島コメ平均、米国産大豆、とうもろこし50、小豆の先物だが、提言の公表当時コメ先物は新潟コシヒカリ、秋田こまち、宮城ひとめぼれといった地域米を試験上場していた。これを2021年8月に本上場させる予定であったが不認可となり、再度3年がかりで堂島コメ平均を本上場させた。

[ステージ②]経産省認可取得 株式会社化で経営刷新を図り経営基盤を作るとともに、経産省に対し同省所管の貴金属、原油等の商品について上場の認可申請を行う。としていた。貴金属は2023年3月に試験上場を実現したので、ステージの①と②が一部時系列で入れ替わった結果となった。

[ステージ③]金融庁認可取得 商品先物取引法で取り扱える商品に加え、金融商品取引法管轄 の商品を追加し、提供できる商品の品揃えを拡充する。ビットコイン先物はこのステージ③に沿った方針となる。
なお、その後について以下の構想を視野に入れている。

[ステージFINAL]総合取引所へ デリバティブ取引所のラインアップができた段階で、PTSとの接続により取引需要の高い内外個別株式の現物個別株CFDの提供を行うこと(詳細は下のイラストを参照)。

 こうした段階的な構想を背景に、堂島取では2024年8月からビットコイン先物取引の実現に向け、有識者会議を開催してきた。各分野からの専門家8人で構成され、12月までに8回の会合を重ね、12月27日には提言を取りまとめている。
 なおCMEのビットコイン先物については2024年の平均売買高が1日あたり約1万5,000枚(9月時点)で、建玉残高(未決済ポジション)も10月時点で116億ドル相当にまで発展している。ビットコイン先物取引は、CMEにかなりの売買手数料収入をもたらしていると推測され、円建てのビットコイン先物が実現すると、堂島取にとっても潜在的な収益拡大の機会が大きいといえそうだ。
 日本でも直近1年間で暗号資産交換業者における暗号資産(現物)の取引口座数が激増しており、2024年7月には1,071万口座と初めて1,000万の大台を超えた。日本暗号資産取引業協会によると稼働口座数も約590万口座(2023年度末時点、個人・法人合計)となり、利用者の預託金は約2.2兆円(2024年8月時点)の水準にある。
 またビットコイン先物は、投資家保護や取引の公正性確保の観点からも取引所取引の有用性は高い。理由としては、ビットコイン先物では現物の受渡しを伴わないため、ハッキングによる流出問題も発生せず、マネーロンダリングの懸念も生じないためである。もし堂島取でアジア時間におけるビットコイン先物市場を開設した場合、アジア各国なからも取引参加の機会が出てくることで、潜在的な需要は高いといえそうだ。

参照イラスト:先物取引所の将来構想(PDF)
(Futures Tribune 2025年3月11日発行・第3346号掲載)
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