2024年(令和6)・国内商品先物10大ニュース

2024-12-28
1位 コメ先物本上場、堂島コメ平均取引開始 (8月13日)
2位 三菱UFJ銀行、電力先物参入 (9月6日)
3位 電先勿に週間物取引導入 (3月18日)
4位 EEXとTOCOM共催「Japan Power Summit」に550人 (10月23日)
5位 東大でコメ現物・先物連携講義、JPXが支援 (7月10日)
6位 電力先物ヘッジ会計適用に向けた検言寸会設置 (7月31日)
7位 東京商品取引所ビルが解体、更地に  
8位 投資戦略フェアEXPOに4600人超 (3月2日)
9位 JSCCが「Clearing House oftheYear」受賞、4回目 (9月26日)
10位 EDF Trading Japanが電力先物参入 (10月15日)

 新型コロナウイルスの脅威を乗り越え、イベントもリアル開催が主体に戻った2024年(令和6)、国内の商品先物業界はコメと電力を主体に動いたといえるだろう。イベントや勉強会も両商品に関連するものが大半を占めた。主務省としても農水省はコメ先物、経産省は電力先物に期待を寄せる様子がうかがえる。国内の商品先物取引所が東京商品取引所と堂島取引所の2取引所体制となり、さらに総合取引所の始動とともに貴金属などが大阪取引所へ移管されたが、今般東商取ビルが解体されたことで東京穀物商品取引所とともに、在京における商品先物の象徴的存在がすべて姿を消した。


[1位]コメ先物本上場、堂島コメ平均取引開始(8月13日)

 坂本哲志農相(当時)はコメ先物の本上場申請に対し「認可基準に適合しており、認可することが適当」だと結論付けた。先物市場の本上場認可基準は①十分な取引量が見込まれる、②生産・流通を円滑にするために必要かつ適当―の2点で判断される。
 今回堂島取が申請した商品設計は、農水省が毎月公表する118 産地銘柄を盛り込んだ「米の相対取引価格・数量」をもとに主食用米の平均価格を算出して指数値で公表し、これを先物取引の対象にすることで生産農家や当業者に経営リスクの分散手段を提供するとの内容であった。
 堂島取が21 年7 月に行ったコメ先物本上場申請に関しては、当時試験上場し出来高実績のあったコメ先物4 商品「東京コメ(全国の水稲うるち玄米)」、「新潟県産コシヒカリ」、「秋田県産あきたこまち」、「宮城県産ひとめぼれ」のうち取引の9 割が新潟コシヒカリに集中していた点や、生産者・当業者の参加が増えていないと判断されたことで翌8 月に不認可となった。

[2位]三菱UFJ銀行、電力先物参入(9月6日)

 東商取にとって10 社目の受託取引参加者となり、国内外の投資家の注文を受託から清算まで扱えることになった。東商取の受託取引参加者資格付与は、2019 年10 月のJPX との経営統合以来初となった。三菱UFJ 銀行と商品先物の関係は、旧三菱銀行時代の1990年に遡る。同年10月にダイヤモンドリースと組み、都銀初となる商品ファンドを設定・販売したのである。しかも外貨建てで販売額は6,400 万ドルと、当時としては大規模な部類であった。当初は元本確保型を主軸にファンドを設定していたが、96年には積極運用型も取扱いファンド数は計14本に達したことなど、都銀の参入は商品ファンドにとって大きな影響を及ぼした。
 もっとも運用額以上に影響をもたらしたのは販売方法の変化だとする声もあり、それまで大口の機関投資家を主体とする訪問販売が中心だったが、三菱など大手都銀は全国の支店網を通じ商品ファンドを販売したのである。つまり訪問形式ではない窓口販売というスタイルを新たに導入したわけで、こうした販売形式を商品先物に繋げれば新たな世界が開けるかもしれない。

[3位]電力先物に週間物取引導入(3月18日)

 月間物は24カ月(2年)先まで取引期間としているが、新たに導入した週間物4種は土曜日から翌週金曜日までを対象とし5週間先までを取引期間とした。電力業界の商習慣に対応し、短期のリスクヘッジニーズに対応した商品である。
 週間物も月間物同様に対象エリアは国内の東西エリアで、東西それぞれにおいて「ベースロード先物」(24時間分の電力が単位)および「日中ロード先物」(8 時から20時が単位)を設定した。取引単位は週間・月間ともに100kw時×受渡し期間の時間数をベースとしており、ベースロード週間物は1 万6,800kw時、日中ロード週間物(5 日)は6,000kw時となる。呼値の単位もともに0.01円/kw時。

[4位]EEXとTOCOM共催「Japan Power Summit」に550人(10月23日)

 サミットが初めて開催された2019年は参加者がわずか20人程度だったが、それからコロナ禍で対面開催を中断した。2023年はEEXとTOCOMの共催で300人の参加者を集め、今回はおよそ倍増の550人(別途WEB参加200人)と盛況で電力先物取引に対する期待感と関心の高さが伺えたイベントだった。

[5位]東大でコメ現物・先物連携講義、JPXが支援(7月10日)

 東商取の石崎隆社長が冒頭に挨拶し、現物市場は2023 年10 月に開設したみらい米市場の折笠俊輔社長、先物市場については元農水事務次官で2011年8月にコメ先物を試験上場した東京穀物商品取引所で当時の社長を務めた渡辺好明・新潟食料農業大学名誉学長が講師を務めた。

(Futures Tribune 2024年12月17日発行・第3331号掲載)
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