農政調査委「米先物情報交換会」、口座開設・格差・現先連携に関心
2024-11-18農業シンクタンクの農政調査委員会会合
農業シンクタンクの農政調査委員会は7日、第4回「米先物取引に関する情報交換会」を開催した。堂島取引所が毎月月末に更新している全国のコメ平均価格に対し、主要産地からは銘柄米との換算方法がわからないとの意見が多数寄せられていたため、情報交換会事務局は令和5年産および6年産9月の平均相対取引価格を基準とする銘柄間格差表を作成し公表した(5年産格差表を参照)。また「口座開設のやり方がわからない」との問い合わせも多く、今回はSBI証券、岡安商事、北辰物産の3社が個別に資料を用意し参加者に説明した。次回は12月13日を予定している。
農政調査委員課では情報交換会開催を踏まえ、事前に先物取引に関するアンケートを募集し21 人から回答を得た。回答者の属性は生産者3人、JA関係者2人、流通業者9人、団体1人、先物関係者1人、行政1人、研究者2人、不明2人となった。このうち先物取引の経験者は3人で、回答者のうち20人が今回の情報交換会に参加した。
堂島コメ平均への意見として主なものは、①口座開設・取引の方法がわからない:6人、②堂島コメ平均価格と産地銘柄価格との換算がわからない:12人、③堂島コメ平均取引と現物の取引との連携がわからない:14人、④会社として現物の受渡しがないものにはヘッジできない:1人、⑤取引の仕組みがわからない:5人―という内容だった。
このうち①の口座開設に関する疑問点は堂島コメ平均の取引が開始された8月から農政調査委に寄せられており、現在コメ先物を取り扱っている4社中3社が今回の情報交換会で個別に資料を配布し、1社15分程度、自社のPRとともに口座開設に至る流れを説明した。
また②の格差問題については、堂島コメ平均を基準に産出する場合、銘柄間格差、等級間格差、運賃格差、新・古米格差が想定されるが、今回情報交換会事務局が参考資料として令和5年産および6年産9月の平均相対取引価格を基準とする産地銘柄の格差表を作成した。
なお北辰物産も堂島コメ平均について独自にアンケートを集計しており、情報交換会で結果を発表した。集計期間は10月22日から28日で、同社の顧客4,301人を対象に電子メールで回答を受け付けたところ、約1%にあたる45人からの回答を得た。設問および回答は以下のとおり。
-
①堂島コメ平均が上場されたことを知っているか?
- a.知っている 32人(71%)
- b.知らない 13人(29%)
-
②堂島コメ平均の値段について、相場表もしくはチャートで見たことがあるか?
- a.ある 10人(22%)
- b.ない 35人(78%)
-
③堂島コメ平均に興味があるか?
- a.興味ある 18人(40%)
- b.興味ない 14人(31%)
- c.どちらとも言えない 13人(29%)
-
④今後、堂島コメ平均を取引してみたいか?
- a.取引したい 10人(22%)
- b.取引したくない 9人(20%)
- c.どちらとも言えない 26人(58%)
-
⑤堂島コメ平均についてのセミナー、勉強会等があれば、参加したいか?
- a.参加したい 11人(25%)
- b.参加したくない20人(44%)
- c.どちらとも言えない 14人(31%)
-
⑥堂島コメ平均について、現物の受渡しを伴わない現金決済取引であることを知っているか?
- a.知っている 15人(33%)
- b.知らない 30人(67%)
-
⑦堂島コメ平均の最終決済価格について、農林水産省が公表する「相対取引価格」等を基に産出されていることを知っているか?
- a.知っている 9人(20%)
- b.知らない 36人(80%)
-
⑧平均米価の計算に用いる「相対取引価格」は、農林水産省がホームページで毎月公表しているが、見たことはあるか?
- a.ある 4人( 9%)
- b.ない 41人(91%)
-
⑨「堂島コメ平均」について、今後期待することはあるか?(一部紹介)
- ・流動性がなさすぎて取引を躊躇してしまう
- ・今の出来高では取引するのは困難。投信会社に米先物ETNを組成してもらうなどの市場振興策が必要
- ・日本人の主食である米を先物で吊り上げる事にもなりかねないと危惧している
- ・実家が米農家であり、米価の安定した高値を期待したい
- ・農家が苦しんでいるので価格を引き上げてほしい
- ・流動性を高めてほしい
- ・価格の透明性を高め、それとは別に流動性もほしい
- ・取引量を多くし、それによる成功者、成功事例を紹介してほしい
- ・堂島コメ平均を取引しなくても、金や原油の取引で十分
- ・相場情報を知らせてほしい
参考資料:令和5年産 国産米銘柄格差表(PDF)
(Futures Tribune 2024年11月12日発行・第3324号掲載)
リンク
©2022 Keizai Express Corp.