コメ先物、8月取引開始に向けスタートライン
2024-06-26 坂本哲志農相は21日、堂島取引所が申請していたコメ先物の本上場申請に対し、閣議後の記者会見で「認可基準に適合しており、認可することが適当」だと結論付け、農水省を通じ同日午後堂島取に通達した。
先物市場の本上場認可基準は①十分な取引量が見込まれる、②生産・流通を円滑にするために必要かつ適当―の2点で判断される。
今回の申請は、農水省が毎月公表する118産地銘柄を盛り込んだ「米の相対取引価格・数量」をもとに主食用米の平均価格を算出して指数値で公表し、これを先物取引の対象にすることで生産農家や当業者に経営リスクの分散手段を提供するとの内容である。これに沿って堂島取は8月中の取引開始を目指す。
指数は平均価格だが各地域の個別銘柄とも相関性は高く、半年後の価格動向がある程度推計できる。これにより出来秋に現物市場で価格が下落しても、前もって先物市場で売り上げを確定させておくことで収入が安定し、価格変動リスクを回避できる。
堂島取が21年7月に行ったコメ先物本上場申請に対しては、当時試験上場中で出来高実績のあったコメ先物4商品「東京コメ(全国の水稲うるち玄米)」、「新潟県産コシヒカリ」、「秋田県産あきたこまち」、「宮城県産ひとめぼれ」のうち取引の9割が新潟コシヒカリに集中していた点や、生産者・当業者の参加が増えていないと判断されたことで翌8月に不認可となった。
その際自民党から、JAグループなど集荷業者、卸売業者などが参加できる現物市場を創設するべきとの申入れが行われ、農水省が主導する検討会を経た上で23年10月、コメのオンライン市場として「みらい米市場」が開設した。だが参加者が少なく、市場は盛り上がりに欠けている。
一方堂島取は21年の不認可後、早々に再挑戦の意思を固め、水面下で動き出した。中心となったのはSBIグループ出身の重光達雄会長で、同氏はコメ先物が4度目の試験上場となった19年、経営が行き詰っていた堂島取に対し経営改革協議会を発足し、20年10月に提言をまとめ21年4月に株式会社化を実現した。その際SBIグループを中心に商品先物業者などから20億円規模の出資を集めた。
(Futures Tribune 2024年6月25日発行・第3295号掲載)
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