コメ先物復活に向けた土壌整備進む
堂島取が有識者会議を設置、28日に初会合

2023-11-27

堂島取引所通路のパネル(図説 大阪府の歴史)より

 コメ先物の復活に向けた動きが進んでいる。農水省は2日、「米の将来価格に関する実務者勉強会」の第2回会合を開催した。生産者のヒアリングを主体とする内容だったが、参加者によると具体的にコメ先物にも踏み込んだ内容だったという。一方、農政調査委員会が主催する「農産物市場問題研究会」は27日、第7回会合を経た上で中間的な取りまとめを図る方針だ。こうした動きに合わせて堂島取引所は「コメ先物の市場開設に係る有識者会議」を設置し、28日に初会合を開催する。有識者10人による会合で、現物市場関係者も招いてコメ先物の必要性などを議論する。


 堂島取の有識者会議は28日の午前中に開催される。まずは2020年10月に堂島取を株式会社化させる目的で設置した経営改革協議会の提言を振り返り、改めてコメ先物市場に対する認識を共有する。同提言ではコメ先物について「本上場申請が不認可であったとしても、再チャレンジすべき」という趣旨が記されており、今後の対応を議論する。
 また現物市場関係者として、10月に開設した「みらい米市場」を運営する流通経済研究所の折笠俊輔氏(みらい米市場社長)とクリスタルライスの山村淳社長をプレゼンターとして招き、それぞれ運営する現物市場についてプレゼンテーションを行う。
 同会議の呼び掛け人は堂島取の重光達雄会長で、有識者メンバーに充てた書面には「現物」「先渡し」「先物」が市場整備の必須三要素であるという世界的認識から、多くの関係者が未整備である先物の再開を願う声が高まっている―と、国内でコメの指標価格としての先物復活を望む生産農家等の声が高まっている実態を紹介している。
 会議は非公開で行われるが、終了後に何らかの提言が出される見通しだ。提言で「コメ先物復活に向けた動きを具体化させるべき」との結論が出た場合には、堂島取内部で新たに商品設計の構築に向けた実務者会議を設置し、年明けから具体的な設計に入るものとみられる。

[コメ先物の市場開設に係る有識者会議メンバー]
  • 議長 土居丈朗(慶応義塾大学教授)
  • 委員 渡辺好明(新潟食料農業大学学長・元農水事務次官・元東京穀物商品取引所社長)
  • 委員 吉田俊幸(農政調査委員会理事長)
  • 委員 木村良(全国米穀販売事業共済協同組合理事長)
  • 委員 多々良實夫(日本商品先物振興協会会長)
  • 委員 岡本安明(元大阪堂島商品取引所理事長)
  • 委員 塩川白良(日本穀物検定協会理事長・元農水局長)
  • 委員 坪谷利之(木津みずほ生産組合代表理事)
  • 委員 井村辰二郎(日本農業法人協会副会長)
  • 委員 中島良一(福岡農産会長)
(Futures Tribune 2023年11月21日発行・第3253号掲載)
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