コメ先物復活への布石か
農水省が将来価格の勉強会

あえて「先物」使わず、周辺への配慮も

2023-08-10

 農林水産省は2日、「米の将来価格に関する実務者勉強会」の初会合を開催した。堂島取引所によるコメ先物市場の本上場申請が2021年8月に不認可となり、一部生産者が稲作経営の拠りどころとしていた先物価格が失われたことで、旧態依然の流通機構が維持されることに対し懸念を示す声も聞かれる。一方、農水省も農林部会からの申入れに沿ってコメの現物市場整備を進め9月に稼働する予定ではあるが、どれだけ自由度の高い取引が行われるかは未知数の状況だ。同勉強会は将来価格と銘打っているが、これが先物価格を意味することは必定で、市場復活に向けた布石とも取れそうだ。


 初会合は省内で、非公開の形で行われた。冒頭の挨拶で宮浦浩司総括審議官が「将来価格がわかると事前契約や概算金などが見えてくるとの話もある」と述べ、会議の方向性を定めた。
 最初の基調講演は、現物市場「みらい米市場」の実質的運営母体となる流通経済研究所の折笠俊輔主席研究員が、「米の現物市場『みらい米市場』と価格相場について」と題して解説した。続いて同じくコメの現物市場運営に手をあげた、ぶった農産の佛田利弘社長が「農業者起点の新たなコメ現物市場の創設」と題して講演し、後半は「小麦の先物市場の活用事例」と題し、三井物産食料本部食糧事業部麦・油糧種子室の三柳室長補佐が体験を語った。
 次回は10月下旬開催、勉強会メンバーは以下の通り。

◇飯島悠希(飯島米穀常務取締役営業部長)
◇井上貴利(井上農場専務取締役)
◇北本健一郎(吉兆楽代表取締役)
◇佐藤拓郎(アグリーンハート代表取締役)
◇佐藤正志(新潟ゆうき代表取締役)
◇妹尾 次郎(千田みずほ商品部長)
◇田口健一郎(たぐち農産代表取締役)
◇平沢愛一郎(全国主食集荷協同組合連合会 常務理事)
◇藤井暁(全国農業協同組合連合会米穀部次長)
◇前田智行(日本ゼネラルフード名古屋本社営業本部食品流通事業部長兼食品流通センター長兼アロス事業部長)
◇吉田宏(わらべや日洋食品執行役員購買部長)

(Futures Tribune 2023年8月8日発行・第3232号掲載)
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