農産物市場問題研が初会合、公正透明な価格形成とは
2023-07-12第一回農産物市場問題研究会の様子
農政調査委員会は11日、市場経由率が低下する農産物商品について改めて価格形成を含む市場の役割を議論する「農産物市場問題研究会」の初会合を開催した。初回は青果市場にスポットを当て、「わが国卸売市場制度の大転換と青果市場についての考察」と題して卸売市場政策研究所の細川允史代表が歴史的背景を踏まえ、現状や問題点を指摘した(詳細は後日配信)。
農調委の吉田俊幸理事長は冒頭のあいさつで、主要穀物について海外事例を引き合いに「取引や価格形成は現物・先渡・先物の各市場が併存している」とし、市場の役割と機能を分担させることでスムーズや流通と公正な価格形成が実現可能だと訴えた。
なお第2回は8月に予定され、その後も月1~2回の会合を経て10月に提言を取りまとめる方針。下記に開催趣旨を掲載する。
「農産物市場問題研究会」の開催について
一般財団法人農政調査委員会
食の外部化、国際化のもとで、コメ等の穀物、野菜等の生鮮食料品、畜産物の流通が大きく変貌している。そのもとで、市場経由率の低下等、物流面での「市場」の役割・機能も変化してはいるが、透明で公正な価格形成やこれに加えて需給調整の場としての「市場」の役割は、依然として大きい。そこで、まず、消費・流通の変化のもとで、市場経由率が低下している生鮮食料品・畜産物の「市場」と価格形成の役割を検討する。
一方、重要な国内生産物であるコメは、市場と価格形成の場が存在しない。そのため、コメには透明で公正な価格形成システムがなく、指標価格が存在しないことによる様々な弊害(卸・小売での価格と生産者手取りの乖離、リスクヘッジ等)が指摘されている。なお、本年9月には、現物市場が設置される予定である。
しかし、コメ,小麦、とうもろこし、大豆の穀物の海外での取引・価格形成は、現物・先渡し・先物の各市場が併存している。各市場の役割と機能を分担することによって、スムーズな流通と透明で公正な価格形成を実現している。
生鮮食品等の流通・市場の役割・機能・価格形成及び海外穀物の取引・各市場の機能と役割を踏まえて、9月に設置されるコメの現物市場のよりよい発展とともにコメ市場・流通の望ましい姿とその機能発揮の在り方を検討する。
今後については、コメの国内消費の大幅な減少が予測されるなかで,米産業の未来は、コメ・米加工品の輸出拡大にある。また、国際的な米市場もアメリカ、オーストラリア、中国、ベトナム等の環太平洋地域での一帯的市場化と競争時代に突入した。将来を見据えて、コメの市場も現物・先渡・先物市場の連携により、コメの流通・価格形成を実現の在り方及びジャポニカ米市場の国際的なセンター化の可能性についても議論・検討する。同時に、コメの透明で公正な価格形成の場の実現は日本の米生産・輸出増大と食料安全保障に貢献できると考えられる。
「農産物市場問題研究会」は、様々な立場と多様な意見をもつ有識者、業界関係者の参加による食の外部化・国際化時代での農産物流通・市場・価格形成の在り方を議論する場である。
(Futures Tribune 2023年7月18日発行・第3228号掲載)
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