農産物市場問題研、11日に初開催
初回講師は卸売市場政策研代表・細川允史氏

2023-07-05
旧築地市場

写真は旧築地市場

 農政調査委員会が主催する「農産物市場問題研究会」の第1回講演が、11日に行われることがわかった。初回の講師は農学博士で卸売市場政策研究所代表の細川允史氏で、「わが国卸売制度の大転換と青果卸売市場の今後についての考察」を演題に解説する。同研究会は生鮮食料品、畜産物などの流通実態を踏まえ改めて農産物市場の役割や必要性を議論する目的で設置した。こうした調査を最終的に国産米の価格形成や流通に活かすべく、提言を取りまとめ公表する方針としている。会場は日本農研ビル(千代田区紀尾井町3-29)で、時間は14時から16時。問い合わせ先は本文末尾に記載。


今、生鮮食料品や畜産物において市場経由率が低下し、市場の役割自体が変化を余儀なくされている。だが、透明かつ公正な価格形成の場として、また需給調整の場として市場の重要性は不変である。
 例えば小麦、とうもろこし、はアメリカ・シカゴにあるCMEグループ傘下のシカゴ商品取引所(CBOT)で付いた先物価格が、国際的な指標価格として認識されている。これはアメリカが両穀物の主要生産および消費地であるという地域要因も大きいが、指標価格を出す市場には世界中から商品に関する情報が集積するため、アメリカにとっての優位性は計り知れない。
 一方、日本の主食であるコメは、堂島取引所が試験上場していた先物市場が廃止され、現在価格形成を行う市場が存在しない状況にある。今秋、現物市場が新たに開設される予定ではあるが、本来市場は現物・先渡・先物の各市場が併存し、役割を分担することでスムーズな流通と公正な価格形成が機能する。
 日本にとって脅威となっているのが中国の大連商品取引所が2019年8月に開設したコメ先物市場で、取引対象がジャポニカ米であることだ。前述のとおり、指標価格となる市場には情報が集積し、価格決定権は市場を有する国家が握る。
 こうした状況を踏まえた上で、現在日本で取引・流通している農畜産物の価格決定メカニズムを掘り下げ、応用可能な部分をコメに反映させ、国内の消費および輸出の拡大に寄与できる提言を取りまとめることが、同研究会の主目的となる。
 第1回研究会の概要は下記のとおり。

日時:7月11日14時~
会場:日本農研ビル1階会議室(千代田区紀尾井町3-29)
定員:先着50人(リモート参加も可)
参加料:1人3,000円
申込先:農政調査委員会事務局(TEL:03-5213-4330、Email:info@apcagri.or.jp)
担当:竹井氏、松本氏

(Futures Tribune 2023年7月4日発行・第3225号掲載)
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