堂島貴金属市場スタート、金初日712枚「静かな船出」

SBI証券、4月10日から堂島取引開始へ

金1kg×3本 2023-03-29

 堂島取引所は27日、貴金属先物市場を開設した。主力商品と見込んでいる金先物は初日の出来高が712枚、始値が8,302.5円、高値が8,303.2円、安値が8,290.0円、終値は8,294.9円(グラム当たり)となった。堂島取の村田雅志社長は出来高枚数について「大変静かな船出」と評しつつ、「2024年3月頃までにグラム換算で大阪取引所の(金先物枚数の)少なくとも4~5割に引き上げるべく努力したい」と抱負を述べた。なお同日の大阪取・金標準先物は2万7,834枚、金ミニは5,181枚となった。またSBI証券は堂島貴金属の申込みを4月8日から受付け、10日から取引を開始すると発表した。


 今回堂島取が試験上場した貴金属3商品はいずれも現物受渡しを伴わない限日取引で、取引単位も大阪取引所の貴金属より小さい(下記表参照)。また試験上場期間は3年間で、この間に一定の実績を残さなければ本上場に移行できず廃止となる公算が高い。
 堂島取は前年度まで9期連続の最終赤字で、存続をかけて臨んできたコメ先物が2021年8月に本上場申請を却下されたことで一気に取引が減少し、2022年4月から出来高がない状態がほぼ1年続いてきた。今回、貴金属の上場により久しぶりに取引が成立したが、金と同時に市場開設した銀先物は初日出来高が4枚、白金は1枚と厳しいスタートとなった。
 初日の出来高をみると、金はコムテックスとSBI証券2社によるもので、銀と白金はすべてSBI証券の取引であった。結局現状では堂島再建のカギはSBIに掛かっている状況にある。
 そのSBI証券は現在1,000万口座を有するが、4月10日から堂島の貴金属に門戸を開き取引可能とする。口座開設の事前申し込みをした顧客に200円をプレゼントする「カウントダウンキャンペーン」を実施するなどし、手数料(片道1枚)も金と白金が16円50銭、銀は82円50銭と設定したが、どれだけの顧客が堂島の貴金属に目を向けるかはまったく未知数の状態だ。
 このほか村田社長は終了したコメ先物についても「あきらめることなく市場再開に向けて努力したい」と語っているが、商品先物業界内には「まずは慢性赤字の状態を抜け出せるのか」と諸々手を広げていく現状に懐疑的な見方も少なくない。さらに昨年来の内部発言などを受け「既存の商品先物業者を軽視しているのではないか」との声は未だに消えない。

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 金標準白金白金
取引種類現物先物取引限月現金決済先物取引現物先物取引限月現金決済先物取引現物先物取引限月現金決済先物取引
取引対象純度99.99%以上の金地金純度99.5%以上の金地金純度99.99%以上の銀地金純度99.9%以上の銀地金純度99.95%以上の白金地金純度99.95%以上の白金地金
取引単位1,000グラム(1kg)10グラム10,000グラム(10kg)1,000グラム(1kg)500グラム10グラム
呼値の単位1グラムにつき1円
(1取引単位1,000円)
1グラムにつき10銭
(1取引単位1円)
1グラムにつき10銭
(1取引単位1,000円)
1グラムにつき1銭
(1取引単位10円)
1グラムにつき1円
(1取引単位500円)
1グラムにつき10銭
(1取引単位1円)
受渡単位1,000グラム(1kg)30キログラム500グラム
取引開始日1982年3月23日2023年3月27日1984年1月26日2023年3月27日1984年1月26日2023年3月27日
(Futures Tribune 2023年3月28日発行・第3206号掲載)
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