商品設計がコメ最大の難所

2023-12-22
新潟の棚田風景

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 農水省が実務者勉強会の骨子案にコメ先物を想定した取引形態を盛り込んだことで、コメ先物復活がかなり現実味を帯びてきた。理想をいえば、JPXと堂島取の両方で双方のスペックに基づくコメ先物市場が開設されることがベストだろうが、現実的には当面堂島取の扱いとなるだろう。実際、堂島取内部では商品設計の検討に着手した模様だが、これが最大の難所だろう。
 生産者と当業者の双方から意見を吸い上げていく形となるだろうが、生産者の立場では、はっきりいえば生産地の銘柄米さえあれば事足りる。ただ、以前の堂島では地域米として新潟コシヒカリ、秋田こまち、宮城ひとめぼれの3種が試験上場されていたが、取引の90%以上が新潟に集中していたように、品揃えを増やしても流動性の問題が大きくなる。
 それならば標準米を設定し、産地によって格差を設けるのが一般的な対処法だろうが、卸業者に言わせるとこれが非常に難しいという。国内のコメ関係者が一様に納得する指標価格が現時点で存在しない以上、信頼性の拠り所をどこに求めるかということだ。本来、先物価格がそれを担うところだが、これでは鶏と卵の議論になり進展はない。だがある生産者が「農家がいきなり金融の難しいことを説明されてもわからん」と言ったように、まずはシンプルでわかりやすい商品設計、これが最も重要だろう。

(Futures Tribune 2023年12月12日発行・第3258号掲載)
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