先物市場がある商品は価格が安定する
2023-09-23 今や世界最大のデリバティブ取引所となったCMEグループも、その始まりは小さな農産物取引所だった。しかも長い歴史の中では危機的状況に陥ったりもしている。有名なのがタマネギ事件で、CMEは1940年代後半にタマネギを先物商品として上場した。だが1957年に一部のトレーダーがタマネギ先物を買い占めたため価格が急騰し、タマネギ農家も投機熱に浮かされて先物を買ったものの、間もなくタマネギ相場が暴落した。このため現物のタマネギ売買で儲け損ね、先物でも大損をしたタマネギ農家が、集団で連邦議会にタマネギの先物取引禁止を迫り翌年に議会でタマネギの先物取引禁止法が制定されたというエピソードがある。この後、CMEは経営難に見舞われたが、上場している卵や豚肉の取引収入で何とか凌いだ。
なおこの問題についてアメリカの経済学者は、タマネギ価格のボラティリティを先物取引が行われていた期間とその前後の期間について調査している。1963年の調査では先物取引が禁止された以前より禁止後の方がボラティリティが高いことが検証され、先物市場には価格を調整して安定させる機能があるとの結論を発表している。
この話はコメ先物市場とどこか被って聞こえる。現在のシステム化された先物市場において相場操縦は極めて難しい。こうした事実を関係者に正確に伝える必要があるだろう。
(Futures Tribune 2023年9月19日発行・第3240号掲載)
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