米国のATS(代替執行市場)、現在66市場に
2023-05-01 PTS(Proprietary Trading System)は私設取引システムと訳されるが、Proprietary (独自・私設)は取引所に対峙する意味合いで使われた。 その嚆矢は1969年、米国で誕生したインスティネット(Institutional Network)で、ロイター端末上で機関投資家同士が取引を成立させる機能を提供した。
そんなPTSへの規制議論は1980年代後半、法令違反を訴える声が証券取引委員会(SEC)に寄せられたことで本格化したが、SECは「証券取引所とPTSは別物」という認識を表明し、取引所規制とは別のルール作りが開始された。これが施行されたのは1994年である。
そんなPTSにまた転機が訪れる。1997年、PTSは取引所の代替執行市場ATS(Alternative Trading System)と定義され、取引所に形を変えること、もしくはATS規制に従うことの二者択一を迫られたのである。
ATS規制は①米国証券業協会(NASD)に証券会社として登録すること、②システム監査を受け性能・容量・安定性・安全性を証明すること、③一定以上の流動性を持つ銘柄については最良気配をパブリックに公開し開示すること、④SECとNASDの検査を受けること―といったもので、1999年に施行された。
現在、米国のATSは66市場(3月末時点)に及ぶ。国内と比較するとどうしても彼我の差を感じざるを得ない。
(Futures Tribune 2023年4月25日発行・第3211号掲載)
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