農水省の農家ヒアリング、コメ先物復活への布石か

2023-03-23

 農水省が、コメ先物に関するリサーチを始めた模様だ。実際、かつてコメ先物を利用していた生産農家を訪ね、ヒアリングを行っているらしい。先週は茨城の農家を訪問したようだが、この生産者はFX などにも造詣が深く、先物取引に対しても理解が進んでいる。今後、新潟や秋田といった主要な生産地でヒアリングが広がっていけば、コメ先物に関する何らかの方針が浮かんできそうだ。
 コメ市場は2021 年8 月にコメ先物の本上場申請が不認可となったことを受け、政府は現物市場の整備に舵取りを切った。有識者会議を設け、2022 年3 月にあるべき市場設計案として取りまとめを公表した。だが現場からは「これでは使い物にならない」との声が上がっている。
 そうした中、12 月に「食料・農業・農村をめぐる情勢の変化(需要に応じた生産)」と題した報告書を公表した。農業の生産性向上を目指し、各種データを引き合いに農家数が減少の一途を辿る国内農業の競争力強化などを盛り込んでいる。政府、農水省ともに現状にかなりの危機感を持っている様子が伺えるが、先物に関するヒアリングもこうした流れの一環なのかもしれない。
 いずれにしろ、コメ先物を望む声は遠からず必ず上がる。農水省のヒアリングがそれを見越したものであったとするなら、それは朗報である。

(Futures Tribune 2023年3月21日発行・第3204号掲載)
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