過怠金賦課はどこまで広げるべきか?

2022-10-21

 6月に行政処分を受けた岡安商事の過怠金について、業界内から様々な声が上がっている。自己資本規制比率の改竄を長期にわたり続けたペナルティは確かに科せられるべきではあるが、問題はその徴収範囲である。
 同社に対し、大阪取引所が5,000万円、東京商品取引所が1,500万円、日本商品委託者保護基金が1,000万円、日本商品先物取引協会が1,000万円と、すでに過怠金は8,500万円に上っているが、12日時点で東京金融取引所、堂島取引所はまだ同社への制裁について態度を明らかにしていない。
 各取引所の定款には制裁規程があり、例えば大阪取は定款第9章第47条「取引参加者の処分」の項で過怠金の賦課を含む制裁を規程している。ただし制裁については強制ではなく「行うことができる」との条文である。これは東商取も保護基金も一緒で、過怠金賦課は必須の制裁ではない。ただ、総合取引所としての見地からみると、金融取も堂島取も岡安に対し過怠金を賦課する可能性が高い。堂島に関しては「取引がない取引所が何の名目で徴収するのか」という不満が出そうだが、農水省が堂島に対し自主規制の観点から暗に過怠金の賦課を推しているとも聞く。
 これでは業者が辛い。「総合取で垣根が消えたから全関係機関がカネを取っていく」では、1回のペナルティが即事業の存廃に直結する。早急にルール化が必要だろう。

(Futures Tribune 2022年10月11日発行・第3172号掲載)
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