暗号資産ETF、2028年にも解禁へ

2026-02-05
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 暗号資産で運用する上場投資信託(ETF)が2028年にも日本で解禁される見通しとなったことを、日本経済新聞が26日付朝刊で報じた。現在投信が投資可能な対象資産は、株式・債券・不動産・商品デリバティブなどで、暗号資産は含まれていないため組成できない。暗号資産デリバティブも国内で認められているのは、暗号資産交換業者が提供する店頭型の証拠金取引(CFD的なものでレバレッジは最大2倍)のみである。今後、暗号資産を主に管轄する金融庁がETFについて制度整備し、運用会社が商品開発に臨む流れで、暗号資産の“法的身分”が固まり幅広い商品展開が期待できそうだ。


ETF解禁後、価格参照先に先物市場整備の議論も

 金融庁が検討を進める暗号資産ETFの解禁について、実際にETFの運用が始まるまでには複数の段階を踏む必要がある。ETFの組成には法制度、市場監視、価格形成の仕組みが要求されるためだ。金融庁はこれまで、暗号資産を主に資金決済法の枠組みで管理してきた。しかし、価格変動を前提とする投資対象としての性格が強まる中、投資家保護や不公正取引規制をより包括的に適用するため、金融商品取引法側への整理を進める方向性が示されている。ETF解禁は、この延長線上に位置付けられる。
 最初の焦点は、暗号資産の法的位置付けである。ETFの原資産とするには、投資信託法上の「指定資産」に含める必要がある。現状では暗号資産は対象外であり、施行令や内閣府令の改正が不可欠となる。その前提として、暗号資産市場に対する開示規制、不公正取引規制、市場監視体制が整っているかが問われることになる。
 金融庁の審議会資料では、価格操縦やインサイダー取引への対応強化が繰り返し強調されている。ETFは個人投資家にも広く販売される商品であり、市場の健全性が担保されなければ承認は難しい。2026年から27年にかけて、関連法改正や監督指針の整備が本格化するとの見方が強い。
 制度面と並ぶ重要課題が、価格参照の仕組みである。ETFの基準価額(NAV)算定には、信頼性の高い参照価格が欠かせないが、単一の取引所価格では不十分とされ、複数の現物市場を組み合わせた指数型の価格が用いられる可能性が高い。国内の金融庁登録業者に加え、欧米の公設取引所の価格を加重平均する方式が有力視されている。
 こうした参照価格は、ETF運用だけでなく市場監視にも直結する。価格の急変や乖離を検知するためには、監督当局と取引所、清算機関が連携した仕組みが求められる。ETF解禁が現実味を帯びるにつれ、運用会社や受託銀行の動きも活発化するとみられる。海外では、大手資産運用会社が先行して商品を投入し、市場規模を急拡大させた。日本でも、既存のETF運用ノウハウを持つ運用会社が参入するとの観測がある。
 一方、販売面では慎重論も根強い。暗号資産特有の価格変動リスクをどう説明し、適合性原則をどう適用するかの線引きは簡単にはいかないだろう。金融機関の窓口やネット証券を通じた販売に向けて、説明資料やリスク開示の標準化が求められる。
 ETF運用が始まれば、その裏側ではヘッジや裁定取引の需要が生じる。海外では、先物市場がETFの資金流出入を調整する役割や、価格発見と監視の基盤として活用されてきた。た。日本でも、ETFを起点に先物市場などデリバティブ市場整備の議論が進む可能性がある。
 市場関係者の間では、取引所や清算機関を含む既存インフラの活用が現実的との見方が多い。ETF解禁は単なる新商品の追加ではなく、暗号資産を既存の金融市場に組み込むプロセスの一環と位置付けられている。
 以上を踏まえると、仮想通貨ETFの運用開始は、一足飛びには進まない公算が高い。法制度の整備、価格参照の確立、監視体制の構築、販売ルールの調整といった段階を経てようやく市場に投入される。早ければ2028年前後との見方もあるが、その時点で想定されるのは限定的な商品と参加者に絞ったスタートだろう。


米国・香港ではETFと先物が価格形成で一体化

 暗号資産ETFが解禁される上で焦点となるのが、暗号資産先物市場の国内上場である。
 米国では、2017年にCMEがビットコイン先物を上場させ、その後先物ETFを経て、2024年に現物ETFが承認された。香港でも現物ETFの上場を起点に、デリバティブ拡張を視野に入れた制度設計が進んでいる。ETFと先物は価格形成と市場監視を支える一体の仕組みとして扱われてきた。
 日本で暗号資産先物を上場する場合、まず想定されるのは現物受渡しではなく現金決済型である。清算機関が暗号資産そのものを保有・移転することは、法的・実務的な負担が大きい。これは原油や株価指数先物と同様、指数連動の現金決済が最も現実的といえるだろう。
 参照市場には役割分担が生じる。国内取引所は制度的正当性を担い、海外大手取引所は流動性と裁定機能を補完する。結果として、日本円建ての指数でありながら、国際的な価格発見と連動する構造となる。ETFの基準価額(NAV)算定や市場監視の観点からも、この形が最も安定的だとみられている。
 仮想通貨ETFの解禁は、投機対象として扱われてきた暗号資産を、制度商品として公式に位置付ける行為である。価格を公的に認める以上、ヘッジや裁定の器となる先物市場の整備は、根拠として否定はできない。
 日本で先物を上場するには商品先物、もしくは金融先物(株価指数・金利など)のいずれかに分類される必要がある。ところが暗号資産は、商品でもない、有価証券でもない、金融商品取引法の「デリバティブ対象資産」にも明確に入っていないという中途半端な位置にある。
 だが、ETFで法的根拠が鮮明化し、主務省も金融庁に一本化されることで、暗号資産先物市場の開設が現実味を帯びてきたといえるだろう。

(Futures Tribune 2026年1月27日発行・第3410号掲載)
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