日本人の金融知識、投資経験低く
金融教育も77%が「経験なし」

2026-01-25

 SBI金融経済研究所は12月26日、日本やアメリカなど4カ国の個人計2万2,000人を対象に実施した「次世代金融アンケート2025」の結果を公表した。暗号資産、ステーブルコイン(SC)、セキュリティトークン(ST)、非代替性トークン(NFT)など新しいデジタル金融商品を巡る個人の意識と行動を分析した調査で、各国の投資行動の違いが示された。アンケート調査は4回目となり、改めて日本人が他国民に比べ、リスク性金融資産や新たなデジタル金融商品の認知度が低く、金融教育を受けたことがないとの回答が77%と、米55%・独56%・中64%を大きく上回るなどの結果が出た。


 調査対象など概要は下記に示したが、調査の男女比は各国ともにほぼ半々で、日本における年代層は20代13%、30代15%、40代19%、50代18%、60歳以上35%と前回調査と同じだった。また調査した日本人の学歴は大卒が39%、高卒が33%などとなった。調査対象の婚姻状況は未婚43%、既婚57%となった。
 調査によると、日本は株式や債券といった従来型のリスク性金融商品でさえ、認知度・投資経験ともに米国などに比べて低い水準にとどまる。新しいデジタル金融商品に至ってはその差が一段と大きく、特にステーブルコインやセキュリティトークンでは「知らない」「聞いたことはあるが理解していない」との回答が多数を占めた。ただし、1年前の前回調査と比較すると、日本において新たなデジタル金融商品の認知度がわずか0.1%だが向上している。
 金融商品に対する意識面でも、日本の慎重姿勢は際立っている。株式、暗号資産いずれについても「損失が生じることへの不安」が最も多く、「利益が期待できる」「分散効果がある」といった前向きな評価を上回った。これに対し、アメリカでは利益期待や分散効果を重視する声が強く、ドイツや中国でも相対的に前向きな認識が見られる。
 実際の資産配分を見ると、日本の金融資産の約75%が現預金で占められ、株式や新しいデジタル金融商品の割合は他国と比べて極めて低い。一方で、「将来の理想的なポートフォリオ」では、現預金を減らし、株式やデジタル金融商品への配分を増やしたいと考える傾向が示されており、意識と現実の間には大きなギャップが存在している模様だ。
  各国におけるリスク性金融資産の認知度をみると、金融商品別に以下のようになる。

※カッコ内の比率表記は(日本、アメリカ、ドイツ、中国)の順
  • ①国内株式
  • 「知らない/聞いたことがない」
  • (17%、24%、13%、15%)
  • 「聞いたことはあるが、あまり知らない」
  • (42%、35%、37%、35%)
  • 「他人に教えられるほどではないが、ある程度の知識はある」
  • (35%、27%、35%、26%)
  • 「他人に教えられるほど、詳しく知っている」
  • ((7%、14%、15%、24%)
  • ②国内債券
  • 「知らない/聞いたことがない」
  • (19%、20%、17%、17%)
  • 「聞いたことはあるが、あまり知らない」
  • (50%、41%、45%、34%)
  • 「他人に教えられるほどではないが、ある程度の知識はある」
  • (27%、27%、28%、31%)
  • 「他人に教えられるほど、詳しく知っている」
  • (4%、11%、10%、18%)
  • ③FX等
  • 「知らない/聞いたことがない」
  • (35%、40%、35%、36%)
  • 「聞いたことはあるが、あまり知らない」
  • (50%、36%、38%、36%)
  • 「他人に教えられるほどではないが、ある程度の知識はある」
  • (11%、15%、17%、21%)
  • 「他人に教えられるほど、詳しく知っている」
  • (3%、9%、9%、7%)

 上記の結果から、4カ国すべてにおいて株式に比べFXなどのデリバティブに関する認知度の低さが浮き彫りになった。
 また、投資経験においても金融商品別に以下の結果が出た。

※カッコ内の比率表記は(日本、アメリカ、ドイツ、中国)の順
  • ①国内株式
  • 「投資したことはない」
  • (59%、39%、45%、30%)
  • 「投資したことはあるが、現在は保有していない」
  • (13%、30%、28%、29%)
  • 「現在保有している」
  • (29%、32%、26%、42%)
      • ②国内債券
      • 「投資したことはない」
      • (77%、53%、62%、40%)
      • 「投資したことはあるが、現在は保有していない」
      • (13%、27%、25%、30%)
      • 「現在保有している」
      • (11%、20%、13%、30%)
          • ③FX等
          • 「投資したことはない」
          • (88%、72%、71%、66%)
          • 「投資したことはあるが、現在は保有していない」
          • (7%、19%、19%、23%)
          • 「現在保有している」
          • (5%、10%、10%、11%)

            •  以上から、他国に比べ日本の投資経験の低さが際立っている実態が示された。
               注目されるのは、情報提供が投資行動に与える影響である。調査では、株式や暗号資産の過去の高い収益率や価格変動の大きさといった情報を与えるランダム化比較試験(RCT)を実施した。その結果、収益率の情報を提示された回答者ほど、将来のポートフォリオで当該資産の比率を高める傾向が確認された。
               これは情報の内容や伝え方次第で、投資行動が変化し得ることを示している。
               次世代金融を巡る環境は、技術や制度だけでなく、人々の理解や経験によって左右される。日本では「貯蓄から投資へ」という政策スローガンの下、制度整備が進められてきたが、今回の調査は情報提供と金融教育の充実なくして投資行動の本格的な変化は期待しにくいことを示唆している。次世代金融の普及は、単なる新商品の登場ではなく、国民の金融理解をいかに底上げできるかにかかっているといえるだろう。

              (Futures Tribune 2026年1月6日発行・第3405号掲載)
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