金の新商品愛称、「ポケットゴールド100」に

2025-10-31

大阪取の横山社長から表彰される命名者まつはしよしのり氏

  日本取引所グループ(JPX)傘下の大阪取引所は20日、金および白金先物の新商品の愛称を「ポケットゴールド100」および「ポケットプラチナ100」に決定し、発表式を行った。新商品は2026年4月13日に上場を予定しており、8月の1カ月間、金と白金に共通する愛称をインターネットを通じ一般募集していた。全国44の都道府県から831件の応募があり、「ポケット100」はこのうち3人から応募を受けていた。選定ルールにより最も早く応募した、まつはしよしのり氏が命名者となり、東京証券取引所ビルで表彰を受け、賞品として2分の1㌉のゴールドコインが贈呈された。


 愛称の「ポケット」は、公募で寄せられた831件の応募の中から選定された。100g単位の小口商品であることから、「気軽に持てる」「手の届く投資」をイメージしたネーミングで、若年層や初心者を含む新たな参加者層の拡大を促す狙いが込められている(商品設計を上に掲載)。命名者のまつはしよしのり氏は新商品の愛称募集をSNSで知り、軽い気持ちで応募したという。表彰式の壇上で、「名前の力で商品の魅力が出てくれたらいい」と感想を述べた。
 金および白金の新商品上場の背景には、現行制度下で生じていた価格の歪みと流動性低下の問題がある。従来の限日現金決済先物では、理論現物価格との乖離が続き取引が呼値の制限幅に張り付くケースが多発した。実際の市場価格を反映しにくい構造となり、価格形成や裁定取引といった市場の基本機能が十分に働かない状況が続いていた。
 大阪取はこうした課題を是正し、透明性と取引効率を高めるため、新たな設計の導入を決断した。
 新商品の特徴は、取引単位を100gとする少額設定に加え、限月を年1回(12月限)に統一した点である。従来のように複数限月から選ぶ煩雑さをなくし、初心者にも分かりやすい構造とした。取引価格は標準先物(1kg単位)の価格を参照する設計とし、標準先物との裁定取引が機能しやすいように工夫されている。これにより、価格の歪みを解消し、実勢に沿った値動きが期待される。
 また、決済・清算の仕組みも標準先物と整合を取った。取引最終日は標準先物12月限の前営業日、最終清算数値は同限月の日中立会始値が採用される。これにより、両市場の価格連動性が高まり、機関投資家やヘッジ取引の利用者にも利便性が増す。
 一方、現行の限日現金決済先物は12月22日をもって取引を終了する。既存の建玉は新商品に引き継がれず、決済が必要となる。大阪取引所は「市場参加者には十分な周知を行い、円滑な移行を図る」としている。
 取引所関係者は「金や白金の価格は世界情勢や為替動向と密接に関係しており、個人の資産防衛・分散投資の対象として注目度が高い。ポケットシリーズは、初心者にも分かりやすく、日常的な資産運用の選択肢にしてもらいたい」と語る。
 今回のリニューアルは、国内の貴金属先物市場の再活性化を目指す戦略の一環でもある。近年、金・白金ともに国際価格が上昇基調にあり、金の標準先物の取引量は堅調に推移している。一方で、少額取引を志向する個人投資家の受け皿となる商品は限られており、大阪取は「ポケット」シリーズによって裾野拡大を図る考えだ。

(Futures Tribune 2025年10月21日発行・第3391号掲載)
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