成長著しい暗号資産、金融庁が規制見直し検討へ
2024-11-28金融庁は暗号資産の規制見直しに着手した。現在資金決済法の下で規制されている暗号資産だが、法的な枠組みも金融商品取引法の対象とすべきかどうかなど、抜本的な見直しを行う。国内の暗号資産口座数は2022年1月に561万口座だったが、24年7月末時点で1,071万口座と1,000万の大台を突破し、預託金残高も3兆円に達している。こうした現状で資金決済法下での規制が取引実態と乖離していないかを含めた再検討が行われ、暗号資産業界が要望している20%の分離課税適用が実現する可能性もある。また暗号資産上場投資信託(ETF)の承認につながる道筋にもなり得る。
ビットコインが誕生したのは2009年で、「管理者を必要としない電子決済システム」として世の中に出た。考案者は「サトシナカモト」という名前だが、日本人なのかも含め正体はわかっていない。この人物が2008年11月に発表した論文から始まった。
「今までのお金の発行や流れというのは、政府や中央銀行を介して行われていたが、本来、お金というのは誰かに管理されるべきものではなく、個人間で、自分の責任でやり取りすべきものである」という主張を掲げ、銀行制度に疑問を呈している。
こうして2010年2月、米ドルとビットコインを交換する取引所が開設し、同年5月にフロリダで初の商取引が成立している。これは1万BTCでピザ2枚を購入するというもので、当時の1万BTCは日本円で約3,000円程度であった。
この後2013年3月、キプロスショックにより預金封鎖が起こると、資産の逃避先として一部がビットコインに流れ価格が上昇した。さらに中国の富裕層も大量に購入し、価格は急上昇している。一方2014年2月、当時世界最大のビットコイン取引所であったマウントゴックスが経営破綻し、価格は一時急落したものの、その後は一転して上昇基調を継続している。
ビットコイン先物はシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が2017年12月に上場し、現在では日本円にして年間数十億円もの取引所収益をあげている模様だ。日本では堂島取引所が暗号資産の先物取引上場を検討すると公表している。
日本でも数多くの暗号資産が取引されているが、現物市場において1日当たりの取引量はビットコインとイーサリアムのみで7.5兆円と、東京証券取引所の平均取引量3.8兆円を超えている。
ただし日本の場合、暗号資産のレバレッジは最大2倍となっている。これはFXの最大25倍と比較してもかなり低い倍率である。こうした規制をどう先物取引に反映させていくかが今後の課題といえるだろう。
(Futures Tribune 2024年11月22日発行・第3319号掲載)
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