三菱UFJ銀が電力先物参入、内外顧客から注文受託

2024-09-06
三菱UFJ銀行

建て替え(2029年竣工)が決まった三菱UFJ銀行本店ビル

 日本取引所グループ(JPX)は30日、三菱UFJ銀行がグループ子会社である東京商品取引所(TOCOM)の電力先物市場等における受託取引参加者資格を承認したと発表した。資格取得予定日は9月6日で、TOCOMにとって10社目の受託取引参加者となる。また清算機関である日本証券クリアリング機構(JSCC)のエネルギー先物等にとって11社目の清算参加者となり、TOCOMのエネルギー先物取引について、国内外の投資家の注文を受託から清算まで扱える。TOCOMにおいて新たな受託取引参加者資格の取得は、2019年10月のJPXとの東経営統合以来、初となる。


 三菱UFJ銀行と商品先物の関係は、旧三菱銀行時代の1990年に遡る。同年10月にダイヤモンドリースと組み、都銀初となる商品ファンドを設定・販売したのである。しかも外貨建てで販売額は6,400万ドルと、当時としては大規模な部類であった。当初は元本確保型を主軸にファンドを設定していたが、96年には積極運用型も取扱い、ファンド数は計14本に達した。
 このほか住友信託銀行、住友銀行といった大手銀行が商品ファンドを販売したが、都銀の参入は商品ファンドにとって大きな影響を及ぼした。
 まず特筆すべきは設定額の幅が桁違いに増えたことで、例えばさくら銀行が97年7月に設定した元本確保型の商品ファンドは1本111億6,000万円、同年9月に東京三菱が設定した元本確保型ファンドは233億円と、それまでの商品ファンドとは運用額が1桁違っている。
 だが運用額以上に影響をもたらしたのは、販売方法の変化だとする指摘もある。それまで大口の機関投資家を主体とする訪問販売が中心だったが、三菱など大手都銀は全国の支店網を通じ商品ファンドを販売したのである。つまり訪問形式ではない窓口販売というスタイルを新たに導入したわけで、これが今回の電力等エネルギー先物販売のバックボーンとなっているとの見方は妥当だといえるだろう。
 実際、商品ファンドを販売した当初は支店の銀行マンが戸惑うほど問い合わせが殺到したものの、やはり銀行の信用力と支店網は強靭で、販売額も商品先物業界の常識からすれば桁違いであった。
 こうした動きには当時の金融ビッグバンが多大に影響している。定期預金など預金の利回りの低さにより、先行きの銀行離れが危惧されていた状況下で運用の多様化が求められ、商品ファンドは将来に向けた銀行のヘッジ手段と位置付けられていたのである。エネルギー先物の取扱いも、こうした過去を受けてのリバイバルという認識で、それほど的外れではないだろう。

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(Futures Tribune 2024年9月3日発行・第3309号掲載)
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