コメ先物価格の推計値JRPI初公表、6月分指数は「15,634(円)」
2024-07-03堂島取引所は6月28日、コメ指数先物市場において価格相場の推計値とする「現物コメ指数(JRPI)」の公表を開始し、令和6年6月分指数を「15,634(円)」と発表した。21日に認可され8月の取引開始を予定している堂島取のコメ先物は、前回スキームの特定産地品種銘柄ではなく日本全国の主食用米平均米価を取引対象としており、どの地域の生産者および当業者でも参入しやすい商品設計とした(詳細は裏面参照)。このため平均米価の参考値となるJRPIを毎月末に公表し、さらに指数を値段にリンクさせることで取引参加者が直感的にイメージしやすい形を取っている。
現物コメ指数(JRPI)は農水省が毎月公表する相対取引価格をもとに算出したもので、堂島取が独自に集計した数値ではない。農水省の相対価格は出荷業者と卸売業者などとの間で数量と価格が決定された主食用の相対取引契約の価格(運賃、包装代、消費税を含む一等米の価格)を集計している。構成銘柄は日本全国のうるち米玄米一等で、北海道の「ななつぼし」や「ゆめぴりか」、秋田の「あきたこまち」、新潟の「コシヒカリ」、九州の「ヒノヒカリ」まで全銘柄(令和5年産米は118銘柄)を対象とする。
つまりJRPIは農水省によって信頼性が担保されている形だが、相対価格は当月ではなく前月のデータであるため、よりタイムリーな価格指標として毎月末に当月の相対価格を推計する目的で、JRPIの公表を開始した。公表は堂島取のウェブサイトで行う。
指数の具体的な構成データは①前月の相対取引価格、②前々月から前月の相対取引価格変化率、③米価DI(現状)、④需給DI(現状)、⑤米価DI(見通し)、⑥需給DI(見通し)―で、③から⑥のDI(Diffusion Index)は米穀安定供給確保支援機構が取引状況を把握するため毎月算出している。
ただ、先物の取引対象はJRPIではなく「平均米価」で、これは同指数を1の位で四捨五入した値である。
日本人がコメの品種銘柄を意識するようになったのは1995年、食糧法の施行がきっかけともいわれている。同法では政府が買い取る備蓄用米を「政府米」、自由な価格で販売できるコメを「自主流通米」として制定した。また農家が農協を介さず直接流通させていたコメは「計画流通米」として合法化し、コメの販売価格が自由化されたことで、後のコシヒカリブームに繋がっていった。
なお2004年、同法は改正食糧法として大幅に改正され、計画流通米と計画外流通米を統合した。その際流通ルートに関する規制も撤廃され、政府に届け出をすればコメの販売が可能になったのである。
(Futures Tribune 2024年7月2日発行・第3297号掲載)
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