2023年・国内商品先物10大ニュース

2023-12-31
2024年へ
1位 コメ先物復活への布石、農水省主導で将来価格の勉強会
2位 農産物市場問題研が取りまとめ、日本にコメ先物は必要
3位 豊トラスティ証券、多々良義成相談役が引退
4位 堂島取貴金属市場スタート
5位 金先物が史上最高値で初の1万円突破
6位 日経225マイクロ先物など6種新商品上場
7位 JPX、日本卸電力取引所とMOU締結
8位 TOCOMビル売却、解体後はアパホテルに
9位 東大でエネルギー・コモディティ市場講義
10位 投資戦略フェアEXPO2023、4年ぶりにリアル開催
[1位]コメ先物復活への布石、農水省主導で将来価格の勉強会

 農林水産省は8月から「米の将来価格に関する実務者勉強会」を開催した。堂島取引所によるコメ先物市場の本上場申請が2021年8月に不認可となり、一部生産者が稲作経営の拠りどころとしていた先物価格が失われたことで、旧態依然の流通機構が維持されることに対し懸念を示す声も聞かれる。同勉強会は将来価格と銘打っているが、これが先物価格を意味することは必定で、市場復活に向けた布石とも取れそうだ。

[2位]農産物市場問題研が取りまとめ、日本にコメ先物は必要

 農政調査委員会は11月27日、第7回農産物市場問題研究会を開催し農水事務次官や東京穀物商品取引所の社長などを歴任した渡辺好明・新潟食料農業大学長がコメ先物の必要性を解説し、立正大の林康史・経済学部教授が「コメ先物市場を考える~何を見据えて、どこに向かうべきなのか」と題した報告で、ともに「日本にコメ先物は必要だ」と研究会を総括した。

[3位]豊トラスティ証券、多々良義成相談役が引退

 豊トラスティ証券の多々良義成取締役相談役が6月、任期満了に伴い退任した。「商品先物業界のプリンス」と呼ばれ、若い頃から業界団体の要職を務め続けた義成氏も、いつの間にか87歳になっていた。金先物市場(1982年~)は義成氏がいなければ確実に実現できていなかった。経営者としても長年社長として豊商事(現・豊トラスティ証券)の先頭に立ち、同社を業界指折りの大手企業に成長させた。

[4位]堂島取貴金属市場スタート

 堂島取引所は3月27日、貴金属先物市場を開設した。主力商品と見込んでいる金先物は初日の出来高が712枚、始値が8,302.5円、高値が8,303.2円、安値が8,290.0円、終値は8,294.9円(グラム当たり)となった。堂島取の村田雅志社長は出来高枚数について「大変静かな船出」と評しつつ、「2024年3月頃までにグラム換算で大阪取引所の(金先物枚数の)少なくとも4~5割に引き上げるべく努力したい」と抱負を述べた。国内最大証券のSBI証券は堂島貴金属の申込みを4月8日から受付け、その取引規模は増加している。

[5位]金先物が史上最高値で初の1万円突破

 大阪取引所では12月4日、金先物相場が大きく値上がりして期先の2024年10月限がは一時1グラム当たり1万28円を付け、取引開始以来初めて1万円台に乗せた。前週1日のニューヨーク金先物相場が、米国の利下げ観測を背景に史上最高値を付け、国内の金先物価格を押し上げた模様だ。

[6位]日経225マイクロ先物など6種新商品上場

 大阪取引所は5月29日、「日経225マイクロ先物」、「日経225ミニオプション」、「無担保コールオーバーナイト物レート(TONA)3カ月金利先物」など6種の新商品を上場し取引を開始した。個人投資家を中心とする投資の小口化ニーズに対応するもので、従来の日経225mini、日経225オプションの取引想定元本を10分の1に小口化した。上記3商品のほか、「S&P/JPX500ESGスコア・ティルト指数先物」、「FTSE JPX ネットゼロ・ジャパン500指数先物」、「日経平均気候変動1.5°C目標指数先物」も、ESG(環境・社会・ガバナンス)や SDGs(持続可能な開発目標)の観点から新規に追加した。

[7位]JPX、日本卸電力取引所とMOU締結

 日本取引所グループ(JPX)と日本卸電力取引所(JEPX)は1月19日、電力市場の機能強化及び競争力強化を目的に、情報交換など事業にかかる協力関係を推進する覚書(MOU)を締結した。電力の現物市場を運営するJEPXと、先物市場を運営するJPXグループの東京商品取引所(TOCOM)が協力することで、効率的な市場運営を促進し、電気事業者など両市場のユーザーにとって使い勝手のいい市場を目指す。

[8位]TOCOMビル売却、解体後はアパホテルに

 東京商品取引所(TOCOM)の社屋(東京都中央区日本橋堀留町1-10-7)が解体され、跡地に大手ビジネスホテルチェーンのアパホテルが建設されることがわかった。工期は7月3日から2024年4月30日まで。2013年2月、東京穀物商品取引所の解散に伴い農産物4商品が移管され、商号をそれまでの東京工業品取引所から東京商品取引所に変えた。その後2020年7月、総合取引所の発足を受け日本取引所グループ(JPX)の傘下に入り、大半の従業員が日本橋兜町の東京証券取引所ビルで業務を行うようになったことで堀留町のTOCOMビルは無人の状態が続いていた。

[9位]東大でエネルギー・コモディティ市場講義

 日本取引所グループ(JPX)は、東京大学経済学部でエネルギー市場関連の講義に、グループ傘下の東京商品取引所(TOCOM)石崎隆社長など4人を講師として派遣する。これは東大経済学部で各産業界から実務家を講師に招聘し講義を行う「産業事情」の一環で、2023年度の題目が「エネルギー市場 / コモディティ市場」となったことで実現した。近年注目されているエネルギー市場において、価格変動が顕著な電力、液化天然ガス(LNG)、石油、排出権などを対象に取引所や主務省、商社担当者らが解説する。

[10位]投資戦略フェアEXPO2023、4年ぶりにリアル開催

 パンローリングが主催する「投資戦略フェア EXPO2023」が3月11日、パシフィコ横浜ノースで開催された。2019年以来4年ぶりのリアル開催で、日本取引所グループ(JPX)と東京金融取引所が後援し、業者17社(IG証券、SBI証券、岡三オンライン、岡安商事、光世証券、ゴールドリンク、サンワード貿易、GMOクリック証券、テコテック、日本ホールディングス、フジトミ証券、ブロードブレインズ、松井証券、マネーアカデミー、マネックス証券、moomoo 証券、楽天証券)の協賛があった。

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