東大でエネルギー・コモディティ市場講義
史上初の大学体系講座、石崎TOCOM社長らを派遣

2023-03-30

 日本取引所グループ(JPX)は、東京大学経済学部で来年度に行われるエネルギー市場関連の講義に、グループ傘下の東京商品取引所(TOCOM)石崎隆社長など4人を講師として派遣する。
 これは東大経済学部で各産業界から実務家を講師に招聘し講義を行う「産業事情」の一環で、2023年度の題目が「エネルギー市場/コモディティ市場」となったことで実現した。
 近年注目されているエネルギー市場において、価格変動が顕著な電力、液化天然ガス(LNG)、石油、排出権などを対象に取引所や主務省、商社担当者らが解説する。
 なおJPXグループからは以下の4人が講師を務める。
 石崎隆(TOCOM社長)、山岡博士課長(TOCOM総合業務室課長)、山下雅弘(JPXデリバティブ市場営業部上席企画役)、松尾琢己(JPX総合企画部企画統括役兼TSEカーボン・クレジット市場整備室長)。
 またコモディティ市場については岡地の岡地和道社長や日産証券の平尾友亮取締役などが関連講義を担当する。
 期間は4月5日から7月19日まで3か月、講義は全13コマとなる(講義のカリキュラムは下記掲載)。
 これまで商品先物業界からの講師派遣は、日本商品先物振興協会が寄附講座という形式で実践していたが、産業界の専門家が東京大学の学部生を対象に、一般の授業でエネルギー市場を本格的に講義するのは、日本で初めての試みとなる。


【東京大学で新年度から実施されるエネルギーおよびコモディティ市場のカリキュラム】
講義題目産業事情「エネルギー市場 / コモディティ市場」
授業の目標
・概要
昨今のエネルギーや食料品の価格高騰は我が国経済に大きな影響を及ぼしているが、これらの一次商品価格の多くは、商品取引所を中心とするコモディティ市場で形成されている。本授業では、コモディティ市場の役割と機能(価格発見、リスクヘッジ、投資)について概説したうえで、第一線で活躍する実務者を招き、商品毎の生産・流通構造を踏まえ、取引の価格形成メカニズムの過程でコモディティ市場がどのように機能しているのか、考えてみたい。
授業計画1.コモディティ市場と先物取引4月5日石崎隆・TOCOM社長
2.取引所市場における価格決定の仕組みと取引の流れ4月19日山岡博士・TOCOM総合業務室課長
3.石油市場①(激動の石油市場):経産省 4月26日経産省担当者
4.石油市場②(エネルギートレーディングの現場から)5月10日宮本慎次・三井物産商品市場部室長
5.電力市場① LNG市場①(電力先物・LNG先物について)5月17日山下雅弘・JPXデリバティブ市場営業部上席企画役
6.電力市場②(電力改革・電力市場と新電力)5月24日安永崇伸・イーレックス常務
7.LNG市場②(LNG調達の現場から)6月7日澤田拓也・三井物産ガス物流事業部室長
8.電力市場③(総合商社と電力事業)6月14日商社担当者(予定)
9.貴金属市場(ゴールドマーケットのすべて)6月21日池水雄一・日本貴金属マーケット協会代表理事
10.排出量市場(世界の排出権市場とJPXの取組)6月28日松尾琢己・TSEカーボンクレジット市場整備室長
11.オルタナティブ投資としてのコモディティ市場7月5日岡地和道・岡地社長
12.コモディティとHFT7月12日平尾友亮・日産証券取締役
13.コモディティ市場の将来7月19日石崎隆・TOCOM社長
(Futures Tribune 2023年3月28日発行・第3206号掲載)
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